超高齢社会を迎えた日本では,生活(命)の質の維持・向上を目指し,生体材料の研究・開発が活発に行われている。チタン合金を人体骨中に埋入させた場合,人体骨(20~40GPa)とチタン合金(100GPa)とのヤング率の差が大きいため,応力の負荷状態によっては人体骨側に不具合が発生し,生体材料として十分な機能を果たしているとは言い難いのが現状である。本研究では,チタン合金に添加する元素や熱処理によって弾性率を人体骨に近づける低弾性率化ではなく,粉末冶金法によるチタンの低弾性率化を試みた。
本研究ではメカニカルアロイング法により純チタンと純マグネシウムを複合化した生体用Ti-Mg合金の創製を試みた。すなわち,純チタン中に純マグネシウムを均一に分散させ,純チタンを高強度化するのと同時に分散するマグネシウムによって低弾性率化を達成したTi-Mg合金を創製した。また,純チタン内部に存在する純マグネシウムが低弾性率化に寄与することに加え,純チタン表面に存在する純マグネシウムが体内で分解し,純チタンの表面積を増加させることで皮質骨との結合をより強固にする。粉末およびバルク材を作製するためのプロセス条件と機械的性質との関係を確立した。
インプラント、生体材料、骨代替材料、低弾性構造材料
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