ヒト生殖補助医療において体外受精・顕微授精が選択された場合、卵子は受精から胚に至るまでの5日間程度を体外の人工的環境で静かに過ごした後に、再び母親の胎内に移植されます。
このとき、体外で発育した胚は、卵管内の自然な環境で発育した胚に比べて品質が低下すると考えられています。
胚品質を低下させない体外培養法の開発が期待される中、私は胚発育にとって本来あるべき環境(卵管内)に着目し、自然現象の中に最適解を求め医療へ応用させる生体医工学的見地に立った独創的な発想で研究を展開しています。
培養器とは異なり、卵管内の自然な環境は動的であり、胚にさまざまな刺激を与えています。これまでに胚に音響振動を与えたり、培養温度に概日リズムを加えることで胚品質が向上することが分かってきました。
今後は、卵管環境を模倣するマイクロ流体チップ搭載型の電子回路デバイスの開発など、国際的な共同研究にも力を入れながら、一人でも多くの妊娠を望む夫婦にとって一助となるように医工連携研究を推進していきたいと考えています。
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