従来、困難であった音源探査システムの小型化を実現する新しい音源検出手法を開発した。また、音環境の評価対象空間を撮影しているビデオカメラの映像上に、リアルタイム検出した音源位置を同時に重ね合わせ表示することで、都市および住宅の音環境をその場でリアルタイムに可視化するシステムを開発した。
これにより都市や住宅の音環境の問題箇所を容易に特定できる。
従来の音源方向検出手法は、複数の無指向性マイクを音波が通過する時間差を利用する。音の波長(周波数)に応じたマイク 間隔が必要であることから、方向検出精度が周波数に依存し、さらにマイクシステムが非常に大きくなってしまうという問題点があった。
そこで、時間差ではなく複数の単一指向性マイクの方向別感度差を利用するアルゴリズムを考案した。具体的には6本のカーディオイドマイクを3次元直交座標軸の±方向に向けて設置し、各座標軸±方向(180度反対向き)の一対のカーディオイドマイクの感度差を利用して音源方向を検出する。
本手法では複数マイクの時間差ではなく感度差を利用するため以下の特徴を有する。
1)原理上に音の波長に左右されないため、低音域から高音域まで同じ精度で方向検出できる。
2)マイク間隔が必要無いのでサイズを極めて小さく出来る。
3)複数マイクの位相特性を揃える必要がない(メンテナンスフリー)。
4)音源の種類を選ばずリアルタイムに方向検出できる。
さらに本手法の特徴を活かし、ビデオカメラと本マイクシステムを組み合わせた音環境可視化システムを開発した。
音環境診断装置,監視カメラ,無人工場の異音発見,セキュリティシステム ,ロボットへの組み込み
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