新しい環境感応型蛍光核酸塩基の開発(11902)

技術分野
アグリ・バイオ / 材料 / 分析
所属
工学部 生命応用化学科
氏名
齋藤 義雄

目的

周辺の極性環境等の違いによって蛍光発光波長を変化させることができ、DNAに導入した場合にもDNAの二重らせん構造を不安定化せず、塩基識別能に優れた蛍光ヌクレオシド及びそれを利用したプローブを提供する。

技術概要

周辺の極性環境の違いによって蛍光発光波長を変化させる化合物については、これまでに多く報告されている。同様のヌクレオシドについてもいくつかの報告例がある。
周辺の極性環境の違いによって蛍光発光波長を変化させる化合物は、対象物質の極性環境の変化を色の違いによって検出できるため、遺伝子検出用のプローブ、タンパク質又は細胞内の局所的な極性環境の調査用プローブなどとしての利用が期待される。例えば、DNA中の識別したい塩基の対面に蛍光ヌクレオシドを導入したプローブDNAを作製し、対面塩基とのマッチ-ミスマッチの違いによる周辺極性環境の変化を利用することで、目的とする塩基の種類を色の違いで識別することができるため、このような化合物は遺伝子検出用のプローブとして有用である。
従来の化合物の良い光学特性を維持しつつ、DNAに導入した場合にもDNAの二重らせん構造を不安定化せず、塩基識別能に優れた新規な蛍光ヌクレオシド及びそれを利用したプローブの開発が求められている。
我々が開発した環境感応型蛍光核酸である8-アザ-3,7-ジデアザアデノシン誘導体および3-デアザアデノシン誘導体に関して、極性環境の異なる溶媒中での発行の様子を比べたところ、環境変化に伴い発光波長(発光色)を大きく変化させる性質を有することがわかった。-デアザアデノシン誘導体に関しては、分子のねじれにより大きな波長変化が見られた。
これらの環境感応型蛍光核酸を含むDNAプローブを用いることで、標的DNA中検出、さらには標的中の一塩基の違いまで、波長の変化として検出することが可能である。

用途

新しいコンセプトに基づいた遺伝子検出試薬や核酸検出チップ(SNPs検出も可能)

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