クスリの治療効果を予測する薬学的人工知能モデル(12274)

技術分野
創薬 / 情報
所属
薬学部 薬学科
氏名
辻 泰弘

目的

機械学習の利点を享受しつつ、科学的に妥当な過程を経て算出されている薬物の血中濃度を出力することができる薬物血中濃度予測装置、薬物血中濃度予測プログラム及び薬物血中濃度予測方法を提供する。

技術概要

近年、被検体に投与した薬物の体内動態を人工知能(AI)を使用してコンピュータ上で再現するモデリングアンドシミュレーション(M&S))が注目を集めている。
従来技術として、個別化化学療法及び薬物送達を提供するためのシステムが挙げられるが、当該システムは、計算式流体力学、解剖学的モデル、患者固有データ、血管網における血流特性、薬物の輸送、薬物の空間的分布、薬物の時間的分布等を機械学習アルゴリズムに入力する。そして、当該システムは、機械学習アルゴリズムを使用して標的組織の一つ又は複数の位置における薬物送達データを出力する。
しかし、一般に、機械学習は、入力したデータの特徴を自動的に抽出して学習することが可能であり、入力と出力との複雑な関係も関数近似することが可能であるという利点を有するものの、入力と出力との具体的な関係を明らかにすることができない。このため、上述したシステムは、出力された薬物送達データが科学的に妥当な過程を経て算出されているか否かを明らかにすることができない。
本研究の薬物血中濃度予測装置は、薬物が投与された被検体の医学的な特性を示す医学的データを取得して機械学習装置に入力し、被検体のクリアランスの予測値を示し、機械学習装置から出力されるクリアランス予測データ及び薬物の分布容積の予測値を示し、機械学習装置から出力される分布容積予測データの少なくとも一方を取得し、被検体に投与された薬物の投与量を示す投与量データを取得し、被検体に薬物が投与された時刻から経過した時間を示す時間データを取得し、被検体のクリアランスの予測値及び薬物の分布容積の予測値の少なくとも一方と、薬物の量と、時間データにより示される時間とにコンパートメントモデルを適用して被検体における薬物の血中濃度の予測値を示す血中濃度予測データを出力する。

用途

薬物治療に関する技術分野において広く応用される可能性
【例】
医薬品開発における臨床試験
希少疾病の治療薬開発
クスリの患者個別の投与法の開発
治験患者数の減少および効率化

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