ベンゼン環構造を含まない有機蛍光物質(12076他)

技術分野
アグリ・バイオ
所属
生物資源科学部 バイオサイエンス学科
氏名
岩淵 範之

目的

低環境負荷なプロセスで変換されたリグニン由来のベンゼン環構造を含まない有機蛍光物質有用物質の提供。

技術概要

有機発光材料は、その多彩で鮮やかな発色性、優れた加工性に加え、検出感度が高く、分子設計により種々の機能付加が可能であり、発光素子、トレーサー、診断薬、試薬等、種々の分野への利用が見込まれることから、優れた化学素材として大きく期待されている。
リグニンは、植物細胞壁の15~30%を占める主要な成分であり、複雑な構造を有し、未利用バイオマスの一つである。微生物機能を利用して、このようなリグニンを有用性が高い物質に変換する方法の開発は、未利用バイオマスの有効利用という観点から非常に重要である。
本研究はリグニン由来成分を低環境負荷なプロセスで新規蛍光物質として変換することに関するものである。
具体的には下記の蛍光物質である。
●海水より採取したシュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)ITH-SA-1株を、シリングアルデヒド共存下で培養することによって得られた蛍光物質。
●低分子リグニンの一種であるシリングアルデヒド(Syringaldehyde;SYAL)の下流の代謝産物である3-O-メチルガリック酸(3-O-methylgallate;3-MGA)とトリプトンとを反応させることにより得られた蛍光物質。
● シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)ITH-B52株又はその変異株を、低分子リグニンの一種であるシリングアルデヒド、シリンガ酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する培地で培養することにより得られる固体状態でも蛍光を発する蛍光物質。
上記蛍光物質は共通して下記の特徴を有する。
*ベンゼン環無し⇒毒性軽減
*最大励起波長(365 nm )、最大蛍光波長(498 nm)
*水・含水アルコールに可溶
*耐熱性(~95℃)
*耐アルカリ性
*プロテアーゼ耐性

用途

新規蛍光素材:塗料・研究用試薬・臨床用試薬・有機EL・化粧品(スキンケア・メイクアアップ)・DDS等

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