波長可変レーザーを用いたプラズマの計測・制御(研究紹介)

技術分野
計測 / 分析
所属
生産工学部 電気電子工学科
氏名
荒巻 光利

目的

プラズマとは、広義にはクーロン力によって相互作用している荷電粒子の集合体である。自然界では、通常の物質の99%がプラズマ状態にあると言われており、宇宙はプラズマで満たされている。また、人類もプラズマを様々な方法で利用しており、半導体製造、医療・バイオ応用や農水産業への応用、未来のエネルギー源としての核融合発電の研究が進められている。位相空間における粒子の分布構造は,プラズマ中の様々な現象を駆動しており,その観測はプラズマの基礎・応用・核融合に共通する重要課題の1つである。
本研究室では,先端の光科学の技術を導入して新しいプラズマ計測法を開発し、プラズマの大域的な位相空間構造を画像化する新たな分光法の開発している。

技術概要

本研究室では,光の位相構造を利用した光渦分光法および強度の空間構造を利用したゴーストイメージング分光法の開発を行っており,これらの新しい分光技術を応用することでプラズマの大域的な位相空間構造を明らかにすることを目指して研究を進めている。
光渦分光では等位相面がらせん状に捻じれた光波を吸収分光に導入し、位相のねじれ構造に由来する方位角ドップラーシフトの2次元分布から従来は測定不可能であったビームを横切る方向の流速を高精度に測定することに成功している(Sci。 Rep。 13, 15400 (2023))。さらに、光渦吸収分光法の普及に向けてシステムの簡略化を進め、受光系のカメラをQPDに置き換えることで測定を粗視化しても実用上十分な測定精度を確保できることを確認した(JJAP 63, 056002 (2024))。現在は、光渦分光を用いたリアルタイム流速測定法の開発に取り組んでいる。
 ゴーストイメージング分光法では,光の空間構造を制御した構造化照明に結像系を導入したゴーストイメージングシステムを構築し,世界で初めてゴーストイメージングを厚みのある半透明物体(プラズマ)に適用している。これにより,従来は不可能であった光の伝播方向に空間分解能がある吸収分光法を実現している。

用途

●プラズマの各種パラメータやラジカルの光測定
●プラズマ生成・制御
●安価で小型な狭帯域波長可変レーザー開発

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