人工衛星による地球観測は,広域を繰り返して観測する特徴から,長期にわたる環境の変化を把握することに適している。中でも地球観測衛星として代表的な米国のランドサットは,1972年に1号が打ち上げられて以来,現在の8号まで継続して観測が行われている。時系列の衛星画像から長期にわたる土地被覆状況の変貌をとらえ,環境問題に発展した要因を明らかにし,対策立案等に寄与できる情報化を進めている。
ランドサットの成功を機に多くの国や機関が地球観測衛星を打ち上げ,運用している。観測装置(センサ)もバラエティに富み,いろいろな視点や方法で地球を撮影した画像からは,種々多様な情報が得られている。一方で,旧版図や過去の空中写真,偵察衛星写真や多種類の国土情報等の整備が進んでいる。これら情報を統合して人工的土地被覆への時系列な変貌を注視すると減災対策に寄与できる情報が見えてくる。
米国地球観測衛星ランドサットは1972年の打ち上げ以来,地球の観測を続けている。1972年,1988年,2002年の約15年間隔でランドサットが観測した画像と,その情報を基に土地の被覆状況を解析した結果より,東京の変貌(人工的土地被覆域の拡大,特に赤で示す市街化地域の拡大が顕著)が明確にとらえられている。
土地被覆調査,植生分布調査,熱環境調査,時系列変化の調査
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