イチゴは甘酸っぱさだけでなく、華やかで心地よい香りを持つ果実です。香りを嗅ぐだけで、私たちはその甘さを連想します。イチゴの食味は甘味で評価されることが多いですが、近年は香りの重要性が認識されてきており、香りに特徴がある品種も登場しています。
日本のイチゴは世界的にも評価が高く、また品種ごとに食味の特徴もあります。私はその多様性を生み出しているのが香りではないかと考え、さまざまなイチゴ品種の香りを分析しました。その結果、揮発性が高い約90種類の香気成分が同定され、一部のエステル類(フルーツ香)やフラノン類(キャラメル香)など、各品種のフレーバーを特徴づける成分が少しずつ分かってきました。
こうしたデータを活用し、同学部の水野真二准教授と共に、香りに優れたイチゴ品種の開発に着手しています。香りを構成する成分の種類が多く、またイチゴは遺伝様式の複雑な8倍体植物であるため、狙い通りの香りの改良に当たって高い障壁となります。
私たちは、香りに優れた個体を効率的に選抜するDNAマーカーを開発するために、重要成分の合成に関わる遺伝子の機能解析を進めています。将来的には、香りの遺伝様式モデルを構築し、日大発のイチゴ品種の開発、さらには他のフルーツの品種開発につなげたいと考えています。
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