微生物の様々な能力は,それらが多様な環境に適応するために備わっている。そうした環境要因の一つに他の生物との相互作用があるが,通常実施される純粋培養ではそうした要因は反映されない。つまり他の生物との相互作用があって初めて発揮される能力は従来の培養法では見逃されている可能性がある。本研究では,特に微生物どうしの相互作用に基づいて発揮される能力を見いだし,それを技術開発へと橋渡しすることを目指している。
異なる微生物と共培養することによって,単独の培養では起こらないような増殖や発揮されない機能(たとえば抗生物質の 生産や酵素の生産)が誘発される現象を探索した。次に,その誘発の要因となっている化学因子を生化学的手法によって同定した。さらに,それらの化学因子に応答を示す微生物を改めて自然界に広く探索してその系統と機能を評価し,該当する共培養に もとづく誘発現象の普遍性と多様性を検証した。
・医薬や酵素などの有用生理活性物質探索に対する潜在的シーズの発掘
・微生物複合系によって進行するバイオマス分解や難分解性物質の分解除去等の効率化
・共生・感染に依存する微生物病害の発症メカニズムの解明と防除法の確立
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