食品に含まれる種々の成分の機能性、健康増進効果は、近年の西欧型食習慣の世界的広がりと生活習慣病の増加に伴い重視されている。我々は各地の伝統食品に含まれる機能性因子の探索と機能性評価を行っている。我々の研究室では、世界有数の長寿地域である沖縄の食、肉・乳製品が主食のモンゴル遊牧民、インド医学で利用されてきた有用植物などについて研究している。特に食品成分の抗酸化性や化学療法の標的酵素に対する阻害効果の評価を中心として、食品による健康増進、生活習慣病の予防を目指す。
食品や薬用植物の成分を抽出し、機器分析に供すると同時に、酵素法、培養動物細胞系などにおいて種々の機能性評価を行う。また、微生物的手法により機能性成分の特性改変を試みる。さらに、未利用資源の有効利用を目指し、新規機能性食品素材の創出を目指す。
種々の食品の機能性や特性を評価し、抗酸化性・嗜好性・水溶性・色調などの改変を試み、また新規生理活性を見いだした。さらに未利用部分の活用などを通じて食品応用への可能性を示した。こうした取り組みは、伝統的食品成分の有効性の解明や、新規食品素材の創出、既存食品素材の改良・有効利用などにつながると考える。
当研究室では、上記に示した以外に、大豆イソフラボン水酸化物およびその酵素変換化合物、未発酵カカオ豆抽出物のポリフェノール成分、カカオハスク(カカオ豆の殻)、カカオの代用品として用いられるキャロブ(イナゴ豆)の抗酸化性と加熱特性、高知県大豊町特産の微生物発酵茶「碁石茶」などについて研究を進めている。
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