Pseudomonassp.ITH-SA-1株は、低分子リグニンの一種であるシリングアルデヒド(SYAL)を培地に添加して培養した場合、SYAL中間代謝産物の重合体と考えられる有機蛍光物質を生産する。本蛍光物質は、優れたpH耐性、熱耐性も有しており、本研究では、リグニン類化合物からバイオプロセスによって生産されたベンゼン環構造を含まない炭化水素からなる新規有機蛍光物質の諸性質を明らかにする。
一般に炭化水素からなる蛍光物質には、ベンゼン環構造が含まれている場合が多いが、本蛍光物質にはベンゼン環構造を検出することは出来なかったことから、構造的に新規性が高いと考えられている。また、低分子リグニンから生産できることから、将来的に廃木材等の未利用木質系バイオマスを高付加価値化することが可能と考えられる。現在、木質系リグニンのバイオマス資源としての有効活用は、セルロース系バイオマスなどと比較してあまり進んでいない。一方、蛍光物質は研究用試薬のみならず、高感度・特異的に可視化できることから、蛍光塗料・有機LED・バイオ医薬分野などで幅広く応用されている。本株における生産のための基本培養条件は既に確立している。また、ラボレベルで簡易的に分離、精製できる条件も確立していることから、今後、スケールアップしていくことで事業化ベースに乗せることは可能と考えられる。
新規蛍光素材・塗料、研究用試薬、臨床用試薬、有機ELなど。
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