液滴マイクロ抽出システム(11344&11346)

技術分野
分析
所属
生産工学部 応用分子化学科
氏名
中釜 達朗

目的

(1)試料水溶液内に連続的にマイクロ液滴を自然落下させるだけで水溶液中の目的成分の抽出・濃縮を実現できるシステムを開発した。
(2)試料溶液を水平回転させて中心部が下降する渦流を発生させ、その渦流中心部に微少量の抽出溶媒を存在させることにより、効率的に抽出と濃縮が同時に達成できるマイクロ抽出システムを開発した。

技術概要

(1)システムは液滴形成部,抽出管および液滴採取部から構成される。微細針から一定流量で抽出溶媒を吐出することで1μL以下のマイクロ液滴を連続的に形成し,試料水溶液を充填した細管内を自然落下させることだけで抽出を達成する。一例としてヘキサフルオロイソプロパノール液滴を用い,塩化ナトリウム水溶液中の水溶性色素(エリスロシンあるいはポンソーSX)を抽出したとき,1滴あたり8あるいは10倍の濃縮率で抽出できることを確認した。
(2)抽出システムは円柱状の試料溶液容器、円錐台状の磁気回転セルおよびマグネティックスターラーで構成される。磁気回転セルは上面中心に円柱状の抽出溶媒用容器、底面に攪拌子を内蔵し、側面周囲に攪拌羽根を有する。磁気回転セルが回転すると、試料溶液内壁に沿って上昇渦流、中心部で下降渦流が生じる。その結果、試料溶液は抽出容器内に連続的に流れ込み、抽出溶媒と効率よく接触する。さらに抽出容器底面を丸底とすることで、容器自体の回転により抽出溶媒が壁面に沿って液膜を形成し、試料溶液との接触面積が大きくなることにより高い抽出効率を実現する。一例として抽出溶媒にヘキサフルオロイソプロパノール20µLを用い、塩化ナトリウム水溶液15mL中の水溶性色素(スルホローダミンB)を665倍の濃縮率で抽出できることを確認した。

X Facebook リンク

同じカテゴリーのお知らせ