ヘム酵素を標識タンパク質とした抗原抗体反応を検出する酵素電極を開発し、ELISA法の様に頻繁な洗浄が不要であり高感度で広い濃度範囲で測定できる装置を提供する。。ヒドロゲナーゼ(水素イオンから水素分子への可逆的な酸化還元反応を触媒する酵素)をプローブとしてメディエーターを用いること無く電極を用いて抗原抗体反応を特異的に高感度に広い濃度範囲で測定することを目的とする。
シトクロムb2と呼ばれるヘムを持つ乳酸脱水素酵素を用いた検出器の開発を行っている。通常この系ではメディエーターと呼ばれる酸化還元物質を電子移動媒体とするが、シトクロムb2が電極表面近傍に存在した場合、メディエーター非存在下でも電流が流れ反応を測定できることを見出した。電極と酵素が直接電子授受する反応系としてヘム酵素であるシトクロムP450を用いた血中の薬品濃度の高感度測定系が既に知られている。これらのことからヘム酵素を標識タンパク質とした電極を用いた高感度な抗原抗体反応の測定系を開発した。本研究の酵素電極は、光学的な測定と比較して発色試薬等が不要であるだけでなく、1秒間に100回代謝回転するヘム酵素を用いた場合、1mAを測定できる機械は理論上100pmolまで測定できる(1秒間に約10μmolの電子が流れると1A)という利点がある。研究者らは,抗原または抗体にヒドロゲナーゼを結合させ,電圧を印加することによってヒドロゲナーゼにより水素が発生することに基づく電流を直接測定することで,抗原抗体反応を電気化学的に測定する方法を見出した。本研究によると,ヒドロゲナーゼによる水素の発生反応を電極で直接電流として測定するため,高感度・定量的かつ低濃度から高濃度まで一つの装置で測定することができる。さらにこの方法を用いることで抗原抗体反応だけでなくヒドロゲナーゼをプローブとして特定のタンパク質などを特異的に高感度に定量することも可能である。
抗原抗体反応を利用したバイオセンサー、抗原抗体反応を検出する装置
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