磁性を利用した微粒子の分離は,強磁性体とそれ以外の物質を分離する高勾配磁気分離が主な分離手法として知られているが,弱磁性(非磁性ともいわれている)物質同士を分離できる磁気アルキメデス分離は実験的試みはなされてきたが,回収率の定量評価までには至っていない等の理由により未だ認知度が低い。
磁気アルキメデス分離は周囲媒体と被分離物質の磁化率差および密度差によって物質の浮上位置が異なることで分離できる物理的手法であり,異種物質はもとより同種物質でも含まれる微量な添加物や不純物による物性の違いによって浮上位置が異なる場合は分離できる。そのため希少物質のリサイクルのみならず,様々な分野における新たな分離・分析手法としての可能性を秘めている。
一例として水溶液中の混合色ガラス粒子の分離回収する装置を開発した。
水溶液中の3種類の混合色ガラス粒子を以下の2つの方法で分離回収して,回収率の比較を定量的に行なった.
方法A:混合状態から直接磁気浮上させて回収する方法
方法B:混合状態から一度磁気浮上させた後に磁場を下げて色ガラス順に積層させる.その後再度磁気浮上させて回収する方法
方法Bは3色の色ガラス粒子全てにおいて95%以上が目的の格納部に回収された.
対象により分離条件の検討を重ねることにより希少物質のリサイクルのみならず,様々な分野における新たな分離・分析手法としての可能性を秘めている。
●希少物質のリサイクル
●不純物質または添加物質の分析・評価
●付加価値物質の分離・回収
●希少金属の分離・回収
●新たな分離分析
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