脱分化脂肪細胞を用いた再生医療等製品の開発(12388)

技術分野
創薬
所属
医学部 医学科
氏名
松本 太郎

目的

細胞製剤用途のMSCの培養に通常用いられている、複数種類のゼノフリーの血清代替品を検討した結果、ヒト血小板溶解物(HPL)を含む培地を用いることで、成熟脂肪細胞からDFAT細胞を作製できることを見出した。

技術概要

培養細胞を臨床応用する際には、安全性の観点から、その培地や調製試薬には、ヒト以外の動物由来の成分を含まない、いわゆる「ゼノフリー」であることが望ましいとされている。従来のDFAT細胞の作製方法では、成熟脂肪細胞を天井培養して脱分化させてDFAT細胞を得るために、ウシ胎児血清(FBS)を含む培地を用いることが必須条件である。このため、DFAT細胞からなる細胞製剤(最終製品)の梱包時に、十分な洗浄操作を行い、FBSを除去する必要がある。この洗浄操作により、最終製品の細胞数が大きく減少するという課題がある。また、十分な洗浄操作を行っても、最終製品中のFBSを完全に除去することができず、ウシタンパク質に対するアレルギーを有する患者には投与できない等、移植安全性に問題がある。間葉系幹細胞(MSC)と同様な分化能を有する細胞として脱分化脂肪細胞(Dedifferentiatedfatcells;DFATcells)が知られている。DFAT細胞は、脂肪組織を構成する成熟脂肪細胞を単離し、天井培養法を用いることで、自発的に脱分化を開始し、多分化能を獲得した細胞である。また、DFAT細胞は、少量の吸引脂肪組織から単離した成熟脂肪細胞を原料として、簡便且つ大量に作製することができる。

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