細胞製剤用途のMSCの培養に通常用いられている、複数種類のゼノフリーの血清代替品を検討した結果、ヒト血小板溶解物(HPL)を含む培地を用いることで、成熟脂肪細胞からDFAT細胞を作製できることを見出した。
培養細胞を臨床応用する際には、安全性の観点から、その培地や調製試薬には、ヒト以外の動物由来の成分を含まない、いわゆる「ゼノフリー」であることが望ましいとされている。従来のDFAT細胞の作製方法では、成熟脂肪細胞を天井培養して脱分化させてDFAT細胞を得るために、ウシ胎児血清(FBS)を含む培地を用いることが必須条件である。このため、DFAT細胞からなる細胞製剤(最終製品)の梱包時に、十分な洗浄操作を行い、FBSを除去する必要がある。この洗浄操作により、最終製品の細胞数が大きく減少するという課題がある。また、十分な洗浄操作を行っても、最終製品中のFBSを完全に除去することができず、ウシタンパク質に対するアレルギーを有する患者には投与できない等、移植安全性に問題がある。間葉系幹細胞(MSC)と同様な分化能を有する細胞として脱分化脂肪細胞(Dedifferentiatedfatcells;DFATcells)が知られている。DFAT細胞は、脂肪組織を構成する成熟脂肪細胞を単離し、天井培養法を用いることで、自発的に脱分化を開始し、多分化能を獲得した細胞である。また、DFAT細胞は、少量の吸引脂肪組織から単離した成熟脂肪細胞を原料として、簡便且つ大量に作製することができる。
同じカテゴリーのお知らせ
癌治療の標的となる抗原ならびに抗体による診断,治療選択法とその抑制方法,医薬(12577)
癌の進行により既存療法での治療が困難となる難治療前立腺癌において,研究者らは癌の増殖に関与している神経受容体を発見。本研究では,神経受容体を標的とした難治性前立腺癌の早期診断マーカーと抗体医薬品の開発を試みています。 詳細を見る
骨吸収を標的とした世界初の歯周病治療薬(12572)
既存のsPLA2-IIA阻害薬「Varespladib」を用いたドラッグリポジショニングにより、歯槽骨の骨吸収を直接抑制する世界初の疾患修飾型歯周病治療薬の開発を目指しています。 詳細を見る
IL-4/IL-13 シグナルの血中 miRNA バイオマーカーによる診断およびモニタリング方法(12576)
難治性喘息患者に対し、生物学的製剤の有効性が期待されています。デュピルマブを対象に、有効性に関連するバイオマーカーとして、循環血中マイクロRNA (miRNA) の探索を行いました。 詳細を見る