従来法では修飾が困難であった部分の容易な修飾法の開発を目的とした。例えば、チューブ状エチレン-酢酸ビニル共重合体の内側に加熱した薬液を流すことで、チューブ内表面のみ親水化する方法が報告されているが、反応時間が長く、材料の機械的性質の劣化を引き起こす(特開2005-6777)。そこで、極性分子を短時間で加熱することができ、官能基の反応性が向上するなどの利点を有するマイクロ波加熱を応用した。
マイクロ波加熱を用いることで、極性溶媒を短時間で加熱することができ、高分子表面の官能基を反応をさせることが可能であり、通常の加熱法と比べ短時間で表面修飾することが可能である。また、この表面反応は溶媒(加熱媒体)と接触する部分のみで進行し、表面修飾の範囲の選択が可能である。高分子材料の表面修飾にマイクロ波加熱を応用した場合、触媒を溶解した極性溶媒に高分子材料を浸漬させマイクロ波を照射することで短時間での表面修飾が可能である。チューブ状やμチャンネルといった修飾や反応を起こしにくい部位でも、反応試薬を溶解した極性溶媒と接触させマイクロ波を照射することで、表面修飾が可能である。
高分子製チューブやマイクロ流路の表面修飾
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