超音波照射を用いて光触媒活性の向上に成功(12062)

技術分野
製造技術
所属
生産工学部 環境安全工学科
氏名
亀井 真之介

目的

高い光触媒活性を有する光触媒及びその新規な製造方法を提供する。

技術概要

酸化チタン(TiO2)は、紫外線吸収性、吸着性、触媒活性等の優れた特性を有するため、顔料、塗料、化粧料、紫外線遮蔽剤、触媒、触媒担体、各種エレクトロニクス材料等の種々の領域で利用されている。
酸化チタンは、光を吸収すると活性化し、強い酸化力を生じ、空気や水に存在する種々の有害化学物質を酸化分解し、無害化する光触媒機能を有する。
酸化チタンの強い酸化力は、バンドギャップの大きさに起因する。酸化チタンは、バンドギャップが約3eVの光半導体であり、価電子帯が伝導帯に対して非常に深い位置に存在する。そのため、光照射により価電子帯から伝導帯に電子が遷移した際に、価電子帯に生成される正孔の酸化力は極めて強くなる。
このように酸化チタンの光触媒活性は結晶構造に大きな影響を受けると言われている。
アナターゼ型の酸化チタン及びブルッカイト型の酸化チタンは、ルチル型の酸化チタンより伝導帯の位置が0.2eVほど高い位置に存在し、高い光触媒活性を示すと言われている。
酸化チタンを作製する方法として、水熱合成法が知られているが、水熱合成法は高圧力、高温下で長時間の処理が必要である。また反応を促進させるために、種々の添加物を加える必要がある。これらの添加物は、最終的な光触媒活性に影響を及ぼすことがある。
鋭意検討した結果、溶液中にキャビテーションを発生させることで、瞬間的に水熱合成の環境に近い化学反応場を生み出し、二酸化チタンを簡便に合成できることを見出した。この方法で作製された光触媒は、非晶質であるにも関わらず高い光触媒活性を有する。
光触媒活性は価電子帯から伝導帯への電子遷移に伴い生じる酸化力に起因すると考えられており、非晶質の酸化チタンでは高い光触媒活性は得られないと考えられていたが、この結果は、従来の常識を覆す結果であり、光触媒の触媒活性を高めるための新しい方向性を開くものである。

用途

光触媒活性が高い二酸化チタンの簡便な合成方法

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