小断面木材を使用した耐力壁の例として古くから寺社仏閣等で用いられる落とし込み板壁が挙げられる。しかし落とし込み板壁は特にダボを用いない場合,剛性・耐力が非常に低く,耐力壁としてほとんど期待できない。本研究は小断面木材を縦方向に配置し,折板状に構成することで高い初期剛性と靱性を得た,新たな耐力壁を提供する。
本研究の耐力壁は,縦方向に並べた小断面木材を折板状に配置し,スルーボルトへの緊結により一体化され形状形成される。スルーボルトを緊結することにより,部材間に張力を導入し,摩擦力を発生させ水平載荷時のせん断抵抗性能,初期剛性の向上が期待できる。従来の落とし込み板壁に比べて優れた壁倍率(従来の板壁:0.6倍,本研究:1.5~2.0倍)を有する性能を持つ。また,部材を折板状にすることで,部材を縦配置した落とし込み板壁において懸念される面外座屈の発生を抑制し,最大耐力後の高い変形性能と靱性を得ることが可能となった。さらに,スルーボルトにより導入したプレストレスの効果がスルーボルト位置周辺の局所的な範囲に限定されるため,壁面に開口を設けることが可能である。
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