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口腔と呼吸器疾患の関連 ―新規口腔ケア剤開発と唾液検査の活用(研究紹介)

目的

 口腔の不衛生に伴う口腔細菌の誤嚥は、肺炎や世界の死因第3位となった慢性閉塞性肺疾患のみならず、COVID-19に対しても悪影響を及ぼしていることが示唆されています。実際、患者さんの痰や肺から口腔細菌が検出されることや、歯周病患者においてはCOVID-19の死亡・重症化率が高いことが報告されています。口腔が新型コロナウイルスの製造工場となっていることも分かってきました。一方で、口腔ケアが肺炎などの呼吸器疾患の予防に有効であることも知られています。

技術概要

 口腔ケアや歯周病治療が、なぜ呼吸器疾患の予防に有効なのか?を調べる研究を行っています。その中で、歯周病や呼吸器疾患の発症に関わりうる口腔の細菌やウイルスの増殖を抑える新たな物質の探求や、唾液を用いた検査法の開発に取り組んでいます。最近では、唾液中の新型コロナウイルスを定量した論文を発表しました。

歯質接着界面の微細構造観察及び質的解析(研究紹介)

目的

 虫歯や外傷によって歯冠に実質欠損が生じた際には、様々な材料を用いた修復処置が行われます。修復歯が口腔内で長期間機能するためには、残存歯質と修復材が強固に接着し、耐久性に優れた接着界面の形成が求められます。本研究は修復材料と歯質の間に形成された接着界面の微細構造観察及び質的解析を目的としています。

技術概要

 充填材料及び歯科用セメントによって形成された接着界面を様々な方法で処理し、その微細構造の観察を行ってきました。その結果、象牙質のカルシウム成分と接着材に含まれる機能性レジンモノマーとの化学的な反応層(reaction layer)と思われる密度の高い層が(リン酸で象牙質を処理した場合においても)発現することを世界で初めて確認しました。
 また、接着界面の質的解析には界面を形成している部材について、界面科学的アプローチとともに接着材料の重合性及び機械的性質の把握から、それぞれの部材の質的解析から相互親和性についても検討を行っています。

慢性口腔顔面痛の新規治療法開発(研究紹介)

目的

 慢性口腔顔面痛は中枢神経系の過敏や下降性疼痛抑制の機能障害により生じることが分かってきました。慢性口腔顔面痛患者の中枢神経機序について神経生理学的及び脳イメージング手法を用いて原因不
明の口の痛みを解明及び新規治療方法の開発を目的とし、臨床研究を行います。

技術概要

 fMRIを用いて慢性口腔顔面痛の患者と健常者の脳体積変化があるか比較検討します。口と手を用いて実験的に痛み刺激と調節刺激を加え、CPM(下降性疼痛抑制)の評価を行い、下行性疼痛調節機構に障害があるか否か明らかにします。解析因子として、中枢感作指標(CSI)、病悩期間、年齢、心理社会的要因、疼痛強度を設定します。

RNAを標的とする核酸医薬で難治性疾患に挑む(研究紹介)

目的

 アンチセンス核酸(ASO)は、天然核酸(DNAやRNA)と修飾核酸から構成される短い一本鎖オリゴヌクレオチドです。ASOは従来の医薬品では標的にできなかった「RNA」と特異的に結合し治療効果を発揮することが実証されており、近年「核酸医薬」として様々な疾患に対して急速に臨床応用が進められています。

技術概要

 我々は難治性疾患の中でも遺伝性疾患である筋ジストロフィーに対するASOの研究開発に取り組んでおり、核酸医薬としての実用化を目指しています。また、ウイルス感染症に対しては、ASOが持つRNA「分解」と「機能阻害」の異なるメカニズムに着目して、抗ウイルス薬としてのASOの可能性を追究しています。最近では、本邦を含むアジア全域で大きな問題となっている日本脳炎ウイルスの増殖を効率的に抑制するRNA分解型ASOの有効性を明らかにし、ASOによるウイルスRNAの分解が高い抗ウイルス効果をもたらすことを実証しています。

異常型タンパク質のシーディングによる神経難病の血液診断法開発(研究紹介)

目的

 私は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の早期発見を可能とする血液診断法の開発に取り組んでいます。従来の診断法では年単位の時間が掛かるため、既存薬の効果の低下や治験開始の遅延など弊害が起こっています。私の先行研究からALSの脳に蓄積した異常型SOD1タンパク質が血液に出現する可能性が浮上しました。今回、血中の極微量な異常型SOD1を「シーディング」を利用し増幅させ、対照患者の増幅パターンを比較することでALS診断への応用を目指します。

技術概要

 シーディングとは異常型タンパク質が構造的な鋳型(シード)となり、基質タンパク質を異常型へと変換する現象です。血液に様々な濃度の異常型SOD1をシードとして混合させ、ALSモデル血液を作製し、基質SOD1に構造異常が起こるか調べました。その結果、シード濃度が10-18mol/L であってもシーディングが起こりました。

食品栄養科学による抗動脈硬化作用の探索(研究紹介)

目的

 日本人の4人に1人は心疾患や脳血管疾患といった動脈硬化を基盤とする疾患で亡くなっています。現在、その予防にはコレステロール合成阻害薬が最も多く使用されていますが、その効果は3割にとどまります。したがって、残り7割のリスクを軽減する物質を見つけることは重要課題であり、その一つとして高比重リポタンパク質(HDL)が注目を集めています。

技術概要

 HDLは、動脈硬化巣中の余剰なコレステロールを回収し、肝臓へと戻して糞便中へと排出する抗動脈硬化機能を担っています。現在、HDLの回収力を増強させる物質を様々な食品成分を用いて探索しています。これまで発見した代表的な食品成分として、コーヒーポリフェノール、アスタキサンチン、シトルリン及びビタミンEなどがあります。

糖尿病関連腎臓病の早期治療介入のためのバイオマーカーの開発(研究紹介)

目的

 現在、日本の人工透析医療費は年間総額1.5兆円を超えており、その原疾患として糖尿病関連腎臓病が40% 以上を占めるため、病態解明や治療法の開発が喫緊の課題となっています。糖尿病関連腎臓病の腎機能低下の速度は個々の患者さんで異なりますが、これまで末期腎不全(ESKD)の高リスク群を早期に発見するためのバイオマーカーは確立していませんでした。

技術概要

 そこで我々は糖尿病の患者さんを対象にESKD未発症の段階での血中蛋白を網羅的に測定し、血液採取時点から10年間の患者さんのESKDの発症率との関係を解析しました。その結果、10年以内にESKDを発症した患者さんで、発症しなかった患者さんと比較して、血液中で高値であった蛋白群を同定しました。

人工知能による心臓画像診断の自動診断支援システム開発(12437)

目的

 負荷心筋シンチグラフィーは冠動脈疾患を標的とした検査法の一つで、リスク層別化や予後予測に有用性が認められています。検査の概要と典型的な狭心症の画像を図1に示します。負荷心筋シンチグラフィーの読影には熟練を要し、診断精度の向上及び再現性が課題です。本研究は人工知能によって上記の課題を解決することを目標に開始されました。研究代表者は人工知能を用いた負荷心筋シンチグラフィーの自動診断支援システムを開発し特許出願を行いました。

技術概要

 本研究で開発された人工知能モデルは、従来の人間の専門医が読影に使用する画像データ、心機能データ、症状や既往歴を含む臨床データを使用して診断を行います。本研究では、既に自施設のデー
タを用いて開発された人工知能モデルに多施設のデータを追加することによって、汎用性及び診断精度の向上を図り性能を検証します。