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コーヒーに入れる砂糖の驚くべき効果-今までの砂糖の常識をくつがえす新感覚の糖質、パラチノースのさまざまな健康効果-(研究紹介)
ひと息つきたい時に飲むコーヒーに砂糖を入れる方は多いかと思います。従来、砂糖の摂り過ぎは、身体に良くないというイメージがありますが、実のところさまざまな健康効果が報告されている砂糖と同じ仲間がいます。それは長年、私が取り組んでいるパラチノースです。パラチノースはハチミツに微量に含まれている天然の糖質で、小腸内でゆっくりと吸収されるため、血糖値の急激な上昇を抑え、インスリンを節約することができるのです。また、日常使用している砂糖(スクロース)に比べ内臓脂肪が蓄積しづらく、肥満を改善する利点があるとも言われています。しかし、どうしてそのような現象が起こるのか解明されていませんでした。そこで、われわれは肥満ラットにパラチノース及びスクロースの溶液を経口投与し、エネルギー代謝の動きを観察しました。その結果、パラチノース投与後にエネルギー代謝の高値が持続することをつかみました。また、このパラチノースの代謝促進作用が肥満の改善につながることも明らかにしました。今後は、これらの知見を基に、肥満の方を対象にした臨床研究を実施していきたいと考えます。
イチゴフレーバーの改革-香りを操り、新たなイチゴ品種を育成-(研究紹介)
イチゴは甘酸っぱさだけでなく、華やかで心地よい香りを持つ果実です。香りを嗅ぐだけで、私たちはその甘さを連想します。イチゴの食味は甘味で評価されることが多いですが、近年は香りの重要性が認識されてきており、香りに特徴がある品種も登場しています。
日本のイチゴは世界的にも評価が高く、また品種ごとに食味の特徴もあります。私はその多様性を生み出しているのが香りではないかと考え、さまざまなイチゴ品種の香りを分析しました。その結果、揮発性が高い約90種類の香気成分が同定され、一部のエステル類(フルーツ香)やフラノン類(キャラメル香)など、各品種のフレーバーを特徴づける成分が少しずつ分かってきました。
こうしたデータを活用し、同学部の水野真二准教授と共に、香りに優れたイチゴ品種の開発に着手しています。香りを構成する成分の種類が多く、またイチゴは遺伝様式の複雑な8倍体植物であるため、狙い通りの香りの改良に当たって高い障壁となります。
私たちは、香りに優れた個体を効率的に選抜するDNAマーカーを開発するために、重要成分の合成に関わる遺伝子の機能解析を進めています。将来的には、香りの遺伝様式モデルを構築し、日大発のイチゴ品種の開発、さらには他のフルーツの品種開発につなげたいと考えています。
卵子が元気になる培養環境-卵管の動的環境を模倣する新しい培養デバイスは、胚の発育を促進させる可能性がある-(研究紹介)
ヒト生殖補助医療において体外受精・顕微授精が選択された場合、卵子は受精から胚に至るまでの5日間程度を体外の人工的環境で静かに過ごした後に、再び母親の胎内に移植されます。
このとき、体外で発育した胚は、卵管内の自然な環境で発育した胚に比べて品質が低下すると考えられています。
胚品質を低下させない体外培養法の開発が期待される中、私は胚発育にとって本来あるべき環境(卵管内)に着目し、自然現象の中に最適解を求め医療へ応用させる生体医工学的見地に立った独創的な発想で研究を展開しています。
培養器とは異なり、卵管内の自然な環境は動的であり、胚にさまざまな刺激を与えています。これまでに胚に音響振動を与えたり、培養温度に概日リズムを加えることで胚品質が向上することが分かってきました。
今後は、卵管環境を模倣するマイクロ流体チップ搭載型の電子回路デバイスの開発など、国際的な共同研究にも力を入れながら、一人でも多くの妊娠を望む夫婦にとって一助となるように医工連携研究を推進していきたいと考えています。
脱分化脂肪(DFAT)細胞の自家培養表皮生着促進効果(11877)
広範囲深達性熱傷症例に対してヒト自家培養表皮が保険適応となり人工真皮と自家培養表皮移植による皮膚再建法の確立が望まれている。しかし、現状では再建真皮上に移植された自家培養表皮の長期生着が安定せず、機械的刺激に対して脆弱であり脱落し易いなどの問題点が残されている。
本研究は、全層皮膚欠損創への自家培養表皮移植に際して、移植床への脱分化脂肪(DFAT)細胞投与が培養表皮生着に対しておよぼす効果をブタを用いた動物実験モデルで検討した。
培養表皮は移植床との間に基底膜が再構築されて生着するが、その主要成分はcollagen IVとlaminin とされる。真皮再建に際してDFATにより治療を行った群では、培養表皮移植後の表皮真皮接着層にlamininの発現促進が見られ、基底膜の構築とanchoring fibrilの形成促進が認められた。
本研究結果よりDFATが培養表皮生着促進に有用であることが示唆された。
・熱傷治療における培養表皮生着率の向上
・再生医療製品(培養表皮)
がんの鑑別診断のための分子検査業務支援アプリケーション(12154)
検査項目の選択作業の手間を軽減することができる分子検査支援装置及びプログラムを提供する。
現在、医療機関における診療科は、消化器外科や呼吸器内科など、主に対応する臓器に応じて設置されている。一方で、病理診断科は臓器毎に分かれておらず、個々の病理医は全診療科と全臓器に対応するために、臓器や標的分子横断的に俯瞰する立場にある。しかし、鑑別診断のためのマーカーや分子検査情報は診療科別や臓器別に多数存在し、研究の進展に伴って増加し続けている。
さらに、これらの診断や検査に関わる情報は、診療科や臓器別に整備されているため、非常に分散した状態となっており、病理医は個人の努力でそれぞれの情報にアクセスし、自身の情報を更新していかなければならず、医師に情報格差をもたらしていると考えられる。
医師の情報格差は、適切な病理診断の精度に影響を与え、適切な治療法選択の機会を失ってしまう患者の医療格差が生じる一因となる。
これらの課題解決を目指し、分散するエビデンス情報を一元化して簡便に提示するアプリケーション(アプリ)の開発を試みた。
本アプリは人体の複数の臓器名リストから診断対象の検査標本の臓器名を選択肢することにより、
免疫組織化学染色による診断又は遺伝子解析による診断を含む分子検査の検査項目から診断対象の検査標本に対して実施が推奨される推奨検査項目を提示するものである。
病理診断業務に沿って構築した本アプリは、診断分野で初めてのエビデンスに基づく情報の一元化システムであり、導入による業務効率や知識の向上は、医師の情報格差の解消への有用性が期待される。
病理診断補助システム
心不全の早期診断による患者負担の軽減-人工知能による胸部レントゲン画像からの心不全のリスク評価と長期予後予測-(研究紹介)
心不全は早期に診断することが望ましいといわれています。このため、カテーテル検査による肺動脈楔入圧の測定が必要となりますが、侵襲的であるため患者に対し負担を強いることにつながります。そのため本研究では非侵襲な検査手法の開発のため、人工知能を活用し、胸部レントゲン画像のみで肺動脈楔入圧を推定する研究を行っています。現状の結果として、少ない誤差で肺動脈楔入圧を推定できることが確認されました。
また、この人工知能により肺動脈楔入圧が高いと推定された患者は、死亡や心不全再入院といったイベントの発生率が高いことが分かりました。この人工知能により、心不全のリスク評価・治療効果の判定・退院後の予後予測を非侵襲に行うことができます。
人工知能の利点は、過去のデータに裏付けられた推定を行えるということと、推定速度がとても速いということです。そのため、いくつか課題も残りますが、このような方法が浸透すれば、従来よりも効果的な医療の提供が期待されます。本研究は、齋藤佑記先生(本学医学部)と共に実施しています。
製品選択を容易にする陳列とは?-カラーバリエーションが豊富な製品は、似た色を近づけて陳列することで効果的に!
インターネット環境の発達により、インターネット上で購買を行う機会が増加しました。それに伴い私たちは多くの製品選択肢から製品を選択するという経験も増えてきています。例えば、ECサイトで自らが欲しいものを検索すると、多種多様な製品が検索結果として現れ、その中から自身にとってふさわしい製品を選ぶことが求められるようになりました。こういった豊富な選択肢から選択をすることに対して、消費者は難しさを感じたり、適切な選択ができていないと感じる傾向にあります。また、マスクやランドセルなどさまざまな製品でカラーバリエーションが豊かになってきています。こういった背景から、特にカラーバリエーションが豊富な製品における製品陳列の在り方を検討しました。
本研究の結果では、カラーバリエーションが豊富な製品を陳列する際は、隣り合う製品の色が近くなるように製品陳列を行うことで、消費者の製品選択満足が高まることが確認できました。
今後も企業の積極的な活動を通じてさまざまな製品が市場に導入されることが考えられます。そういった中で消費者にとって好ましい製品陳列の在り方の模索は、消費者の購買満足を促進させ、より良い購買環境の提案も可能となります。