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口腔細菌を誘因とする新たな全身疾患 ウイルス感染症発症機序の解明と予防方策への展開(研究紹介)

目的

「細菌とウイルスの微生物間相互作用」という新たな視点から、口腔疾患および口腔細菌がインフルエンザウイルスやHIV、EBV感染に及ぼす影響についての研究

技術概要

口腔は約700種類もの細菌が生息しており、さらに、多くのウイルス感染の感染経路となるばかりでなく、潜伏感染の場となっている。口腔のウイルス感染は全身疾患とも密接な関係があり、診断上重要な手がかりとなる。しかし、世界的に見ても歯科領域におけるウイルス研究はほとんど行われていない。
近年、口腔細菌と全身疾患(誤嚥性肺炎や糖尿病、早産など)との関連性が明らかとなる中、われわれは、病原性発現における「細菌とウイルスの微生物間相互作用」という新たな視点から、口腔疾患および口腔細菌がインフルエンザウイルスやHIV、EBV感染に及ぼす影響について研究を進めている。
これまでに、以下の報告をおこなった。
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1)口腔細菌がインフルエンザの拡大と重症化に深く関与している可能性
2)口腔細菌が潜伏ウイルスを再活性化し、HIVやEBV感染症の進展に関与している可能性
3)歯周病等の口腔疾患の発症自体にEBVやCMV等のウイルスが関与している可能性
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口腔ケアがインフルエンザなどのウイルス感染症の予防に有効である可能性、また、歯周疾患の新たな病因論が明らかとなる可能性がある。

用途

●口腔ケア関連品(歯磨き、デンタルリンス等)の開発、発展、販売促進。
●歯周疾患の新規予防・治療法の開発(抗ウイルス薬の応用など)。

ベンゼン環構造を含まない有機蛍光物質(12076他)

目的

低環境負荷なプロセスで変換されたリグニン由来のベンゼン環構造を含まない有機蛍光物質有用物質の提供。

技術概要

有機発光材料は、その多彩で鮮やかな発色性、優れた加工性に加え、検出感度が高く、分子設計により種々の機能付加が可能であり、発光素子、トレーサー、診断薬、試薬等、種々の分野への利用が見込まれることから、優れた化学素材として大きく期待されている。
リグニンは、植物細胞壁の15~30%を占める主要な成分であり、複雑な構造を有し、未利用バイオマスの一つである。微生物機能を利用して、このようなリグニンを有用性が高い物質に変換する方法の開発は、未利用バイオマスの有効利用という観点から非常に重要である。
本研究はリグニン由来成分を低環境負荷なプロセスで新規蛍光物質として変換することに関するものである。
具体的には下記の蛍光物質である。
●海水より採取したシュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)ITH-SA-1株を、シリングアルデヒド共存下で培養することによって得られた蛍光物質。
●低分子リグニンの一種であるシリングアルデヒド(Syringaldehyde;SYAL)の下流の代謝産物である3-O-メチルガリック酸(3-O-methylgallate;3-MGA)とトリプトンとを反応させることにより得られた蛍光物質。
● シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)ITH-B52株又はその変異株を、低分子リグニンの一種であるシリングアルデヒド、シリンガ酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有する培地で培養することにより得られる固体状態でも蛍光を発する蛍光物質。
上記蛍光物質は共通して下記の特徴を有する。
*ベンゼン環無し⇒毒性軽減
*最大励起波長(365 nm )、最大蛍光波長(498 nm)
*水・含水アルコールに可溶
*耐熱性(~95℃)
*耐アルカリ性
*プロテアーゼ耐性

用途

新規蛍光素材:塗料・研究用試薬・臨床用試薬・有機EL・化粧品(スキンケア・メイクアアップ)・DDS等

疎水性環境に暴露されることで誘導される微生物の熱耐性(12360)

目的

ロドコッカス属細菌に高温耐性を付与することができる、ロドコッカス属細菌の培養方法、及び、高温耐性を有するロドコッカス属細菌の製造方法。

技術概要

有機溶媒分解菌であるロドコッカス属(Rhodococcus)細菌は、産業的に重要な菌群として位置づけられており、低エネルギー化や環境負荷を削減できるバイオプロセスによる環境浄化又は物質生産への応用などが期待されている。
高温発酵系は新たなエネルギー削減技術として期待されており、耐熱性発酵微生物の耐熱性機構が研究されている。ロドコッカス属細菌は、通常、30℃程度で生育する細菌であり、高温発酵系で利用することはできない。しかしながら、ロドコッカス属細菌の耐熱性を向上することができれば、高温発酵系に利用することができる。
本研究において、疎水性液体を含む培地でロドコッカス属細菌を培養する工程の後、疎水性液体を含む培地で、80℃以上の温度条件下で、ロドコッカス属細菌を培養する工程によりロドコッカス属細菌に高温耐性を付与することができことを確認した。

用途

発酵生産、化学品生産のバイオプロセス、バイオレメディエーション、排水処理プラント、微生物製剤、水環境の油系汚染の分解浄化

ナノ粒子点眼とワクチンを用いた低侵襲糖尿病網膜症治療(12316)

目的

フィブラートを含むナノ粒子を含有する、網膜循環障害及び網膜神経血管連関障害の改善用点眼剤。

技術概要

フィブラートは、内服により、網膜血管新生抑制効果を有することが知られている。しかしながら、フィブラートは、スタチンとの併用による副作用(横紋筋融解等)が報告されており、実際の臨床では、眼疾患治療の目的で用いられていない。
眼疾患に対する薬剤の投与方法としては、内服投与よりも局所投与の方が、全身副作用が少ないため望ましい。しかしながら硝子体内腔投与は、硝子体出血及び水晶体損傷などが報告されており、さらには眼内炎などの重篤な眼合併症も報告されている。安全性の観点からは、点眼による投与が望ましいが、眼球後部に存在する網膜組織まで、通常用いられる点眼により有効濃度の薬剤を到達させることは困難である。
一方、網膜循環及び網膜神経連関における障害は、明かな網膜症所見が発見されるよりも早期に引き起こされ、網膜疾患の発症の一因であると考えられている。しかしながら、これらの障害の改善に有効な点眼剤は実用化されていない。網膜循環障害又は網膜神経連関障害を点眼により改善又は予防することができれば、これらの障害に起因する網膜疾患を、安全かつ有効に予防又は治療することができる。
本研究は、ナノ粒子化したフェノフィブラートが高濃度で網膜まで到達可能であること、点眼のみで糖尿病網膜症の早期病変を改善させること、糖尿病網膜症の予防および進展防止のための可能性に関するものである。ナノ粒子化したフェノフィブラートは網膜循環障害及び網膜神経血管連関障害を改善又は予防することが可能な点眼剤となる可能性がある。

用途

網膜循環障害及び網膜神経血管連関障害を改善又は予防のための点眼剤

骨増生用三次元配向性コラーゲンマテリアル(12284)

目的

簡便且つ安定的に骨を増生することができる、骨増生用構造体。

技術概要

インプラント治療は、非常に有用な治療法であるが、十分な骨量が必要であり、骨量・骨質による影響を強く受ける。
自家骨移植は医学における組織移植において最も歴史が古く本世紀初頭において、すでに臨床応用されていた。しかし、自家骨移植には補填する骨採取による外科的侵襲が大きいこと、適用範囲が限られるといった欠点がある。そのため、自家骨に変わる多くの人工骨(人工材料)が研究、開発され臨床に応用されてきた。
現在臨床に応用されている人工骨の形態は顆粒状が多く成型性に乏しいため、メンブレン等を併用しなければならない。自家骨、人工骨およびメンブレンを併用する手法は、外科的手技に多くの経験や修練が必要となる。結果として、骨増生を確実に行える術者が限定されることとなり、インプラント治療を希望する人にとっての不利益となっている。そこで、より簡便で確実な増骨法や材料の開発が望まれている。
本研究はコラーゲンの配向性が細胞接着、成長等に影響を与え、組織全体の物理的特性、機能にも影響を与えることに着目してなされた。本研究のマテリアルは軸方向に配向性を有する複数のコラーゲンストリングを含んだコラーゲンシートをコラーゲンチューブの配向性が一致するようにコラーゲンチューブ内に収容されており、簡便且つ安定的に骨を増生することが可能な、骨増生用構造体である。

用途

●歯科治療における歯槽骨を必要とする、歯周治療、補綴治療
●医科における骨増生

クスリの治療効果を予測する薬学的人工知能モデル(12274)

目的

機械学習の利点を享受しつつ、科学的に妥当な過程を経て算出されている薬物の血中濃度を出力することができる薬物血中濃度予測装置、薬物血中濃度予測プログラム及び薬物血中濃度予測方法を提供する。

技術概要

近年、被検体に投与した薬物の体内動態を人工知能(AI)を使用してコンピュータ上で再現するモデリングアンドシミュレーション(M&S))が注目を集めている。
従来技術として、個別化化学療法及び薬物送達を提供するためのシステムが挙げられるが、当該システムは、計算式流体力学、解剖学的モデル、患者固有データ、血管網における血流特性、薬物の輸送、薬物の空間的分布、薬物の時間的分布等を機械学習アルゴリズムに入力する。そして、当該システムは、機械学習アルゴリズムを使用して標的組織の一つ又は複数の位置における薬物送達データを出力する。
しかし、一般に、機械学習は、入力したデータの特徴を自動的に抽出して学習することが可能であり、入力と出力との複雑な関係も関数近似することが可能であるという利点を有するものの、入力と出力との具体的な関係を明らかにすることができない。このため、上述したシステムは、出力された薬物送達データが科学的に妥当な過程を経て算出されているか否かを明らかにすることができない。
本研究の薬物血中濃度予測装置は、薬物が投与された被検体の医学的な特性を示す医学的データを取得して機械学習装置に入力し、被検体のクリアランスの予測値を示し、機械学習装置から出力されるクリアランス予測データ及び薬物の分布容積の予測値を示し、機械学習装置から出力される分布容積予測データの少なくとも一方を取得し、被検体に投与された薬物の投与量を示す投与量データを取得し、被検体に薬物が投与された時刻から経過した時間を示す時間データを取得し、被検体のクリアランスの予測値及び薬物の分布容積の予測値の少なくとも一方と、薬物の量と、時間データにより示される時間とにコンパートメントモデルを適用して被検体における薬物の血中濃度の予測値を示す血中濃度予測データを出力する。

用途

薬物治療に関する技術分野において広く応用される可能性
【例】
医薬品開発における臨床試験
希少疾病の治療薬開発
クスリの患者個別の投与法の開発
治験患者数の減少および効率化

数理物理学に基づいた神経突起変性の評価方法の提案(12263)

目的

神経突起の形態を定量的に表す方法を確立し,それを用いて神経突起の変性状態を解析することを目的とする。我々が提案するのは,複素解析の分野で研究されているレヴナー発展を適用することである。このような試みは,我々の試みが初めてであり,他に例を見ないものである。

技術概要

アルツハイマー型認知症,レビー小体型認知症やパーキンソン病のような神経変性疾患の発症メカニズムや治療法を明らかにするには,その病態を正しく知ることが重要である。そのためには,神経突起(樹状突起や軸索)の形態を定量的に表し,その状態を客観的に評価することが必要となる。
しかしながら,これまでの評価方法は定性的なものであり,定量的な評価方法はなかった。神経突起の形態を定量的に表すことができる方法を確立することができれば,神経突起の状態を客観的に評価する重要な指標になり得る。また,このような指標を用いて神経突起の変性状態を解析することも可能となる。
神経突起の形態から数理物理学的手法を用いて得られた物理量を指標とし、簡便かつ迅速にその変性状態を評価する方法を確立した。ヒトiPS細胞(健常者由来,アルツハイマー型認知症(AD)患者由来)を培養し,神経細胞に分化させて得られた神経突起に対して試みた。その結果,AD患者由来の神経突起のスケーリング指数の方が健常者由来のものより0.5に近く,神経突起の伸長過程のランダム性が高いことが分かった。また,このような違いは,培養の初期段階(ADの原因とされるアミロイドβやタウの凝集体が発現する前)から見られた。
したがって,個々人のiPS細胞から得られた神経突起の形態をスケーリング指数によって定量化し,その変性状態を解析することにより,個々人における神経変性疾患のリスクや薬理効果を迅速に評価できる可能性がある。

用途

●神経突起の形態の客観的評価ツール
●神経変性疾患のリスク評価ツール
●神経変性疾患の治療薬の効果を評価ツール
●認知症リスク評価システム

レシチン逆紐状ミセルを利用した水溶性高分子の皮膚浸透促進技術(12244)

目的

水溶性高分子の含有量を多くすることができ、且つ皮膚移行性に優れたゲル状組成物の製造方法、及び前記製造方法により製造されたゲル状組成物を提供することを目的とする。

技術概要

レシチン逆紐状ミセル(LRW)は、レシチン/オイル系に水などの極性物質を添加することで形成されるオルガノゲル製剤で、配合した薬物の皮膚透過を促進することが報告されている。
これまでに、LRW中に水溶性の中・高分子薬物(分子量500以上)を可溶化あるいはコロイドサイズで分散する技術を開発した。この技術を用いると、通常は皮膚に移行しにくいとされる分子量が500以上の薬物が、皮膚中に移行しやすくなるが、ゲル状組成物中の水溶性高分子の濃度を高くすることができない、という問題があった。
水に溶解又は分散させたレシチンと、水に溶解又は分散させた分子量500以上の有機化合物(但し、レシチンを除く)との混合液を凍結乾燥又は加熱乾燥し、レシチンと有機化合物とを含む固体混合物を得た後、オイル成分と、極性物質とを混合し、ゲル状組成物を得る工程によると、水溶性高分子の含有量を多くすることができ、且つ皮膚移行性に優れたゲル状組成物の製造が可能になることを見出した。

用途

化粧品、医薬品、医療材料