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微粉末からはじまるマイクロ成形(研究紹介)
マイクロメーターサイズの微細成型を様々な材料に適用するのは難しい。この方法は材料を粉体にすることによって微細加工を行う方法を提供する。
微粉を樹脂と混合し,数μmから数100μmの厚みのシートを作成する。このシートには柔軟性があり,加工がきわめて容易。また,樹脂成分に感光性のものを使用することによってフォトリソグラフィーの適用が可能。あるいは,微細構造の施された母型に充填剥離することで微細構造の転写ができる。
MEMS,マイクロマシン,マイクロファブリケーション,パッケージ,アクセサリー
微分型センサー(研究紹介)
超弾性合金は携帯電話のアンテナなどに利用されている比較的安価なTi-Ni合金であるが,その電気抵抗の高さと弾性伸び変形の大きさから大きな変形を精度良く測定するためのセンサとして活用できると考え,ひずみセンサや変形センサとしての可能性を検討している。
本研究では超弾性合金センサの応用例として,突風に対するGFRP*屋根の変形・応答振動の測定を試み,超弾性合金センサのセンサ特性の検証とともに,GFRP屋根の風応答や新道徳性について検討した。
超弾性合金センサシステムは,超弾性合金ワイヤーの長さ調節によって,たわみ測定の範囲を比較的自由に設定できる利点があり,今回の測定対象のような建築構造の変位測定に適した測定システムである。
超弾性合金センサは既存の変異変換機と比較して,センサ感度がひずみゲージの2倍以上と高く,測定範囲も広いことから,屋根材の動的応答を精度良く測定できることを検証した。
超弾性合金ワイヤーを応用した変位センサにより,軽量FRP屋根の風荷重に対する動的応答を測定するシステムを構築することができた。この計測システムはFRP屋根の動的応答や破損に対する構造ヘルスモニタリングシステムに応用可能である。
*GFRP:Fiber Reinforced Plastics,ガラス繊維強化プラスチック
建築・構造物のゆがみ測定センサ,装置
プローブクライマーによるワイヤーロープ支持構造の健全性評価(研究紹介)
旅客輸送用索道のうち特に交走式に用いられる支索と呼ばれる搬器を支えるワイヤーの点検は困難である。また遊園地のジップラインなどワイヤーを使用する遊具も目視による点検がほとんどであり,その点検も高所での作業などの危険が伴う場合も多い。 本研究では構造用ワイヤーロープの遠隔保守点検システムを開発するために,自作のGMRセンサアレイ型検査機器を搭載して垂直方向にも自立移動できる昇降機構(プローブクライマー)を開発し,ワイヤーロープ支持構造の予見保全技術向上と技術作業員のリスク軽減に寄与するものである。
構造用ワイヤーロープの遠隔点検システムを開発するために,従来製品より小型で検出精度の高いGMRセンサアレイ型健全性評価システムを開発した上で,これを搭載して垂直方向に自立移動できる昇降機構(プローブクライマー)を製作し,その予見保全の妥当性について検討した。
開発したプローブクライマーは従来製品より高速でワイヤーロープの破断や錆とその発生位置を検出することに成功し,また,GMRセンサアレイ型健全性評価システムは,検出が困難であった内部破断についても検知可能であった。
支持構造として利用されるワイヤーロープ全般の予見保全や遠隔点検機器,土木構造,建築付帯設備,遠隔保守点検,上空大気の遠隔環境計測機器,リモートセンシング,高層建築での火災時避難器具
音源までの距離の測定方法(11216)
周波数に依存せず高い精度で音源までの距離をリアルタイムに計測することが可能な音響情報分離装置及び、用途に応じて、種々の条件で音源からの音響情報を分離することも可能な音響情報分離装置の提供。
騒音は環境基本法で定義されている典型7公害のひとつであるが、我々の生活環境は、種々の騒音に囲まれている状態である。
社会的に問題となっている、大きな騒音の発生源には、空港、道路、工場、鉄道等があるがこれらの騒音源が近接している場合もしばしば見られる。例えば、高速道路の向こうに空港がある場合には、おのおのの騒音を分離測定する場合には、音源までの距離の把握が必要になる。
そのため、高い精度と経済性を併せ持つ方法が求められている。
2つの音源方向検出マイクシステムを一定の距離を離して配置し、それぞれのシステムで音源方向を検出し、その直線の交点を音源として距離を求める方法を提案する。本方法は複数マイクによる時間差を利用する方法でないため、定常的な継続音についても測定可能である。また、距離情報を用いてのフィルタリングもリアルタイムで可能である。
本方法により、
◎高い精度で音源までの距離の測定
◎特定の範囲内の騒音の抽出
◎騒音源が特定の範囲に存在するか(観測点からの特定の範囲の角度内、また、距離が特定の範囲内)
を高い精度で求めることができる。
航空機騒音、高速道路、鉄道等の交通騒音の測定・監視、工場騒音源、工事騒音源の特定・測定・監視
小型マイクによる音源探査技術(12171)
従来、困難であった音源探査システムの小型化を実現する新しい音源検出手法を開発した。また、音環境の評価対象空間を撮影しているビデオカメラの映像上に、リアルタイム検出した音源位置を同時に重ね合わせ表示することで、都市および住宅の音環境をその場でリアルタイムに可視化するシステムを開発した。
これにより都市や住宅の音環境の問題箇所を容易に特定できる。
従来の音源方向検出手法は、複数の無指向性マイクを音波が通過する時間差を利用する。音の波長(周波数)に応じたマイク 間隔が必要であることから、方向検出精度が周波数に依存し、さらにマイクシステムが非常に大きくなってしまうという問題点があった。
そこで、時間差ではなく複数の単一指向性マイクの方向別感度差を利用するアルゴリズムを考案した。具体的には6本のカーディオイドマイクを3次元直交座標軸の±方向に向けて設置し、各座標軸±方向(180度反対向き)の一対のカーディオイドマイクの感度差を利用して音源方向を検出する。
本手法では複数マイクの時間差ではなく感度差を利用するため以下の特徴を有する。
1)原理上に音の波長に左右されないため、低音域から高音域まで同じ精度で方向検出できる。
2)マイク間隔が必要無いのでサイズを極めて小さく出来る。
3)複数マイクの位相特性を揃える必要がない(メンテナンスフリー)。
4)音源の種類を選ばずリアルタイムに方向検出できる。
さらに本手法の特徴を活かし、ビデオカメラと本マイクシステムを組み合わせた音環境可視化システムを開発した。
音環境診断装置,監視カメラ,無人工場の異音発見,セキュリティシステム ,ロボットへの組み込み
生体リズムかく乱によるメタボリックシンドローム発症メカニズム(研究紹介)
現代社会においてメタボリックシンドローム患者が急増した理由は多種多様であるが,興味深いことに,シフトワークもその一因であることが近年明らかにされた。シフトワークによるメタボリックシンドローム発症の理由として生体リズムのかく乱による代謝異常発症が示唆されている。
事実,生体リズムは細胞レベルにおいてBMAL1とよばれるタンパク質により制御を受けているが,ヒトBMAL1の遺伝子多型は高血圧ならびにII型糖尿病の発症に密接に関与する。さらにメタボリックシンドローム患者の内蔵脂肪においてBMAL1の機能異常が認められている。
そこで生体リズムのかく乱とメタボリックシンドローム発症との関係を明らかにする目的でBMAL1欠損(KO)マウスを確立し,その解析を行った。
マウスBMAL1遺伝子のエクソン6-8をはさむ形でloxP配列を挿入したベクターをC57BL/6マウス由来ES細胞に導入した。得られた組換えES細胞をもちいてBMAL1floxマウスを作製した。
このマウスを全身,肝臓あるいは脂肪細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するマウスと交配し組織特異的にBMAL1を欠損させたマウスを作製した。
結果,全身性BMAL1 KOマウスは,短期間(4週間)の高脂肪食負荷により,脂肪の体外への漏出,脂肪組織の肥大化抑制およびそれに伴う肝臓への脂肪酸の流入ならびに耐糖能の低下を示し,メタボリックシンドロームを発症した。
これらの結果は,生体リズムのかく乱がメタボリックシンドローム発症のリスクファクターであることを示唆するものである。
メタボリックシンドローム研究動物モデル,睡眠障害研究動物モデル
バイオマーカー簡便検査システム(12226)
近年,新型コロナウイルスや変異インフルエンザウイルスなど,種々の感染症の拡大防止のための水際対策や,がんや生活習慣病,ストレス性疾患などのモニタリングのために,簡便且つ迅速なバイオマーカー検査法の開発が望まれています。
当研究室では,最近,検査サンプルを試薬に混ぜて37℃で静置しておくだけで,標的があれば蛍光を発するというバイオマーカーの検出システムを独自に開発しました。SATIC法と名付けられた本検出システムによると,二重鎖DNA(ゲノムDNA)やmRNA(転写物),マイクロRNAやそれらの変異といった核酸標的のみならず,タンパク質や代謝物といった非核酸標的も簡便且つ特異的に検出することができます。
検査サンプル中に標的物質が存在すると,RCAと呼ばれる増幅反応の開始複合体が形成されます。一旦,開始複合体が形成されると,最終的に,多数のグアニン四重鎖を含む長いDNA鎖が生成します。この長いDNA鎖は,ThT-HEと呼ばれるチオフラビンTの誘導体によって特異的に蛍光染色されます。その結果,検出試薬を混ぜた検査サンプルの溶液は光って見えます。
標的物質が核酸分子ではない場合は,捕捉鎖とプライマー鎖の末端に,それぞれ,核酸アプタマーを用います。
SATIC法では,DNAやRNA中の1塩基の違い(点変異)を簡便に見分けることができます。野生型(WT)および変異型(MT)に対して特異的に反応する検出試薬を,それぞれ設計し用いることで,数分~十数分の間に,標的の特異的検出が可能です。
さらに,抗体と同様に,特定の標的物質に対して特異的に結合する活性をもつ核酸アプタマーの適用により,非核酸標的の特異的検出も可能です。
SATIC法に基づく簡易検査キットや検査装置等を開発し,医療,食品,環境衛生,農業など,幅広い分野での活用を目指す。
エタノールとナイシンを用いた抗菌スプレー剤及び浸漬剤(12104)
ナイシンAは代表的な乳酸菌由来の抗菌ペプチドであり,乳酸球菌により生産される。また,日本を含む多くの国で食品添加物として使用されている。作用機構は細胞膜状のLiquidⅡ(細胞壁前駆体)に付着した後,細胞膜に形成された穴(膜障害性)を通じた細胞内物質の流出によるものであり,グラム陽性菌のみに効果がある。酸性領域で最大活性を示し,中~アルカリ性領域では活性減となる。当研究室では,中性pH域における効果的なナイシンの利用法として,溶媒にエタノールを使用することが有効であることを見出し,エタノールを溶媒としたナイシン溶液の性状解析と利用法の確立を試みた。
実験1:各食肉への抗菌スプレー噴射試験
エタノール溶液及びエタノール・ナイシン溶液をそれぞれ食肉へ噴射後,肉表面上の菌数を測定し,菌数減少率を算出した。結果,エタノールの菌数減少率は最大で20%程度となった(菌数の増加例もあり)。一方,エタノール・ナイシン溶液の菌数減少率は40~80%程度となり,エタノール・ナイシン溶液の有用性が明らかとなった。
実験2:鶏ささみ肉の浸漬試験
鶏ささみ肉を60~80%エタノール溶液及び60~80%エタノール・ナイシン溶液にそれぞれ5秒,15秒,30秒浸漬語,肉表面上の菌数を測定し,菌数減少率を算出した。結果,70%エタノールの菌数減少率は15秒浸漬では100%近くだったが,30秒浸漬にて低下した。一方,エタノール・ナイシン溶液では70,80%の溶液にて浸漬30秒で減少率100%を達成し,食肉をはじめ,家庭用・医療用器具の除菌に高い利用性と有効性があることが判明した。
ナイシンを添加したエタノール溶液は、以下の効果があった。
①スプレー噴射・浸漬による食肉表面菌の低減・殺菌に有効(エタノール単独は、全く効果なし)
②1.25 ppm(80 mL)で、鶏ささみ肉5本分の殺菌が可能 (43.2円/本↑)
③遮光、30℃下保存で、少なくとも半年以上、高い抗菌活性が持続
家庭内から、食肉を含む食品製造現場、調理器具、医療器具等へ抗菌剤としての活用
・全て食品グレード
・エタノールを噴射・浸漬して問題のない商品、器具、及び環境を含む幅広いステージで使用可能
・ナイシンは耐性菌の出現が極めて少ない膜障害性の抗菌ペプチドで、長期継続使用が可能。水分残存による微生物二次汚染も抑制可能。