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食品中の主要抗酸化成分の特定化とその寄与率について(研究紹介)

目的

 食品成分による生体恒常性維持についての関連性を明示することは食品品質を差別化する上で極めて重要となる。食品中の抗酸化物質は活性酸素による生体内酸化を抑制し、これらに起因すると考えられているガン、動脈硬化、老化、糖尿病等のさまざまな生活習慣病を予防すると期待されている。そのため、天然・食品中より数多くの抗酸化物質が見出され、今なお効果的な抗酸化物質の検索がなされている。一方、有効な食品を供給するためには、またその安全性の面からも、品質評価は必要不可欠である。しかし、天然物の多くは複雑な混合物であることから、有効成分含量あるいは成分組成を指標とした規格化は困難を伴う。
 そこで、本研究では、抗酸化活性測定法の一つであるDPPHラジカル消去活性を用いることにより、主要抗酸化成分の特定化や寄与率、また活性値より有効成分含量を測定できるのではないかと考え、検討を行った。

技術概要

DPPHラジカルは安定なラジカルであるが、抗酸化物質と反応することにより、紫色(517 nm)から黄色へと変化する。この退色度合いを測定することにより、抗酸化物質の活性を見積もることが可能となる。この作用を使いDPPHポストカラムシステムを構築した。これにより主要活性成分の特定化やその寄与率の算出が容易に行える可能性が示唆された。

用途

健康食品・機能性食品の品質評価および新規食品素材のスクリーニング

腸内環境を制御した動物モデルによる免疫系機能性食品の機能性解析(研究紹介)

目的

生体で最大の免疫系組織である腸管には膨大な数と種類の腸内細菌が共生し、腸内環境の形成に大きな影響を与えている。例えば、この腸内細菌が宿主の消化吸収はもちろんのこと、免疫系に対しても大きな影響を及ぼしている。さらに、腸内に共生する細菌の菌体成分や細菌が産生する代謝産物が免疫系細胞に対して直接作用して、様々な免疫応答を修飾していることが明らかになりつつある。一方で、腸内環境を制御する腸内細菌叢は、食事や生活習慣、ストレスなどによっても変化することが知られており、腸内環境は宿主の生理機能と相互に影響し合っている。
 我々は、腸内細菌環境を制御できる(無菌マウスを含む)ノトバイオートマウスをつくることによって、宿主の生理機能、特に免疫系に対する作用について検討を行ってきた。そこで、腸内環境を制御することが期待される機能性食品成分の生理的な機能性評価を行っている。それにより、宿主の免疫系を調節し、免疫機能性食品として生体調節に寄与する食品等の開発につなげることを目指している。

技術概要

腸内共生菌が宿主の免疫系に対して大きな影響を与えていることは、特に、生きた腸内細菌をもたない無菌マウスを用いた研究において、直接的な腸内共生菌の作用を解析することができる。例えば、無菌マウス(GFマウス)の腸管関連リンパ組織の形成については、通常の腸内細菌叢を有する通常マウス(CVマウス)と比較して小腸パイエル板や盲腸リンパ節のサイズが小さく、細胞数も少ないことなどからも、腸内共生菌の影響が宿主の免疫系に大きな影響を与えていると考えられている。そこで,以下の免疫・アレルギー反応に関与する生体応答の検討を行うことで、腸内共生菌が腸内環境を介した免疫機能性に対してどのような分子機構で作用しているのかを解析した。

用途

免疫関連リンパ組織における細胞フェノタイプや免疫応答の解析
食品アレルギーモデルでの制御作用の解析

食品成分による免疫調節作用とその応用(研究紹介)

目的

腸管は、生命活動にとって重要なエネルギー源として摂取した食品成分を効率的に消化・吸収する組織であると同時に、人体で最大の免疫組織でもある。腸管粘膜には生体の7~8割以上のリンパ球が存在し、そこで生体にとって有用な食品成分や腸内共生細菌、または有害な病原細菌などを識別し、感染防御やアレルギー反応の制御などの免疫応答が行われている。本研究は、この腸管免疫系に注目した食品成分の免疫調節作用を効率的に評価し、抗感染・抗アレルギー食品の開発をめざした研究展開を試みている。

技術概要

 腸管免疫系では、腸管内に免疫グロブリンA(IgA)抗体が粘膜外分泌されることによって感染防御に重要な役割を果たしている。そこで、マウスを実験モデルにプロバイオティクス菌体成分・オリゴ糖・多糖体などを一定期間経口投与し、その後、腸管関連リンパ組織のパイエル板・腸間膜リンパ節細胞を採取して免疫グロブリンA(IgA)抗体やサイトカイン産生、および腸粘膜中に分泌された総IgA抗体などへの影響を検討した。さらに、マウスを拘束ストレスに負荷させることによって宿主の免疫応答を低下させたときに腸管免疫系応答に与える影響を、被検物質をマウスに経口投与させることによってその免疫調節作用を評価した。
 結果は以下の通りとなった。
1)プロバイオティクス菌体成分(Bifidobacterium由来菌体成分、BIM)をマウスに7日間経口投与すると、腸管免疫系の誘導部位であるパイエル板細胞においてIgA産生の誘導が活性化した。
2)フラクトオリゴ糖(FOS)をマウスに4週間経口投与すると、腸内細菌叢が変化して腸粘膜中に分泌される総IgA量が亢進した。
3)拘束ストレスによって腸管免疫系の応答を低下させる実験モデルにおいて、プロバイオティクス菌体成(Bifidobacterium由来菌体成分、BIM)をマウスに経口投与すると、腸粘膜中に分泌される総IgA量の低下を抑制した。
4)摂取したプロバイオティクス・プレバイオティクスが腸管免疫系を介して宿主の免疫反応を調節し、感染症やアレルギー症状の予防へとその応用が期待される。

用途

抗感染食品,抗アレルギー食品

エンバクを利用した脱プラ製品の開発(研究紹介)

目的

近年SDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組みが重要視されてきている。環境問題ではプラスチック問題が大きく取り上げられ,プラスチック製品の代替品の開発が進められている。

技術概要

ムギ類の茎(ストロー)に注目し,様々な種類のムギ類を栽培し, ストローとして適した種類や品種を選抜した。結果,茎の太さ,本数,においなどから エンバク(燕麦(学名:Avena sativa),オーツ麦)が有力候補となった。
本製品は使用後回収し堆肥とすることが出来,堆肥化した製品をエンバク畑へ利用することで,エネルギーと物質の循環が行われる。

用途

食品,ストロー代替品,生分解性プラスチック

免疫賦活剤を利用した魚類の生体防御能向上と疾病予防(研究紹介)

目的

魚類養殖の発展に伴い,魚病被害が深刻な問題となっている。被害額は年間290億円にも達するといわれており,養殖産業の発展を阻 害する主要因の一つといわれている。一方で,近年の「安全・安心」に対する消費者の関心の高まりから,抗生物質等の治療薬剤の使用 は以前に増して制限される傾向にあり,有効性の高い新たな疾病予防対策が求められている。そこで本研究グループでは,魚類の生体防御能(自然免疫)を向上させる免疫賦活剤を利用した,“病原体が侵入しても感染しづらい”, “感染しても発病しづらい”,“発病しても死亡しづらい”魚類疾病予防手法の開発を進めている。

技術概要

免疫賦活剤の超高濃度短期間投与の効能について解析を行っている。1kg餌料当り1000~5000mgの各種免疫賦活剤を加えて1~10日間給餌した後,血漿成分,組織 観察,腸内細菌叢,生体防御因子の発現・活性,白血球機能等を測定した。またストレス耐性に関する飼育実験や人為感染実験と組み合わせることにより,その効能や最適投与法について検証を進めている。
免疫賦活剤のメガドス短期間投与(7~10日間)によって,
1)魚体(成長,生理代謝)の健康状態に異常(魚毒性)は確認されなかった。
2)粘液の分泌活性,一部の生体防御因子の発現・活性,細菌の付着阻害活性の亢進が確認された。
3)ストレスに起因する生理代謝や生体防御能の変動が抑制された。
4)人為感染実験による生残性は,病原体の種類によって異なる。

用途

水産増養殖,魚類の疾病予防

成熟脂肪細胞を用いた新規の再生医療用ドナー細胞の開発(研究紹介)

目的

 現在、再生医療用のドナー細胞の開発を目的として、iPS細胞や組織性幹細胞の多能性について集中的に研究が進められている。iPS細胞の樹立および維持には、遺伝子導入および種々の生理活性物質などが必須である。
また、組織性幹細胞では細胞を大量に採取するための機器および技術が必要であり、いずれも莫大な費用と手間がかかる。さらに細胞移植による治療には、多能性をもつドナー細胞を大量に準備する必要があることを考えると、簡単かつ低コストで大量供給可能な新規のドナー細胞の開発が必要である。
 我々は、皮下脂肪組織から採取した成熟脂肪細胞を自発的に脱分化させることによって、種々の細胞に分化転換する新規の再生医療用ドナー細胞 “DFAT” を開発した。

技術概要

DFATの調整方法は下記の通り。
<原理>
皮下脂肪組織をコラゲナーゼ処理したのち、フィルトレーションし成熟脂肪細胞からなる単一画分を採取

成熟脂肪細胞を天井培養することによって
自発的な脱分化を誘導

多能性前駆細胞(DFAT)

種々の分化誘導培地を用いて分化転換を誘導

細胞移植

脂肪組織の体積の90%以上を占める成熟脂肪細胞は浮力をもつため、セルソータなど高額の機器を用いることなく、容易に単一画分として採取が可能で、成熟脂肪細胞を自発的に脱分化させることによって多能性細胞DFATを簡便かつ低コストで作製できる。DFATは成熟脂肪細胞に由来するので、他細胞の混入のない均一な細胞群として大量に調整できる。また、DFATは、間葉系幹細胞に類似した特性をもつ。

用途

間葉系細胞に分化するだけでなく、胚葉を超えて神経系細胞や乳腺上皮細胞など外胚葉系細胞にも分化する再生医療用の多能性前駆細胞

機能性成分を含む新規導入作物キノアの国内での栽培と利用拡大の可能性(研究紹介)

目的

 2013年は国連が国際キノア年と定め、我が国でも全国各地でキノア(Chenopodium quinoa Willd.)に関するイベントが行われてきた。ただ、キノアは国内での需要量は年々増加しているが、我が国では必ずしも広く認知されたものとは言えない。現在、国内で流通しているキノアは全てが南米からの輸入品であるが、キノアの持つ機能性から我が国で栽培された国産キノアを求める声もある。生物資源科学部の作物学研究室ではキノアの生理・生態に関する研究を十数年来行ってきた結果、この作物が我が国でも栽培可能であることを明らかにした。そこで、ここではキノアの特性を紹介し、この作物の持つ可能性と今後の課題について提言する。

技術概要

 キノアは南米アンデス原産のアカザ科に属する1年生の作物である。種子に炭水化物やタンパク質などを豊富に含むため、ペルーやボリビアでは数千年前から主要な穀物として利用されていた。種子表面にサポニンを多く含む。植物の姿はアカザに極めて似ており、大きくなると高さ1mを超える。実りの時期を迎えたキノアの穂は赤や緑、黄色など様々な色やかたちをしたものがある。
 キノア栽培の中心地は原産地に近い南米のアンデス地方である。ボリビアやペルーなどの国々で世界の生産量の約90%を占めている。しかし、当研究室での研究結果、キノアが我が国でも北海道から九州まで栽培することが可能になった。
 1980年代にアメリカ航空宇宙局(NASA)は宇宙開発が盛んになる21世紀に有望な食料の一つにキノアをあげた。これをきっかけに世界的にキノアの研究が活発になった。NASAがキノアに注目したのは、優れた栄養特性である。キノアはアミノ酸のバランスがよく、現代人の食生活では不足がちな食物繊維やミネラルを豊富に含んでいる。
 キノアは子実成分の特徴から食材として利用した時、次のような効果が期待されている。
 1.骨粗しょう症防止 (ミネラル)
 2.動脈硬化、高血圧、コレステロール低下 (サポニン)
 3 .アレルギー患者の代替食 (優れたアミノ酸組成)
 4.ダイエット、便秘改善、大腸がん予防 (粗繊維)

用途

機能性食品,加工食品

有用タンパク質の量産に役立つタグの開発〜洗剤,製剤,ワクチンまで〜(12283他)

目的

タンパク質発現向上並びに分解耐性の獲得を可能にするタグを提供する。

技術概要

約20個のアミノ酸配列であるスタビロンタグを付加することで,真核生物でのタンパク質発現の向上,及び,分解耐性獲得
を可能にする。(主にプロテアソーム,一部のプロテアーゼ)
また,スタビロンタグは大腸菌発現時の可溶化,封入体タンパク質の巻き戻しにも有効である。

用途

SATIC法に基づく簡易検査キットや検査装置等を開発し,医療,食品,環境衛生,農業など,幅広い分野での活用を目指す。