日本大学 産官学連携知財センター(NUBIC) Nihon University Business, Research and Intellectual Property Center
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納豆及び納豆菌由来酵素を用いた虫歯菌の制御(研究紹介)
う蝕(虫歯)は、口腔内微生物由来の酸により歯の硬組織が脱灰されることで生じる口腔疾患です。ミュータンス菌は酸生産に優れ、歯面に強固に付着・増殖(=バイオフィルム)することから、主要なう蝕原因菌です。
当研究室では、市販納豆の水溶性画分がミュータンス菌のバイオフィルム形成を阻害すること(業績 2018年)、それは納豆菌に由来するタンパク質分解酵素“ ナットウキナーゼ” であることを明らかにしました(業績 2021年)。また、ナットウキナーゼはミュータンス菌の抗菌因子(バクテリオシン)の働きを抑えることが明らかとなりました。これらの結果から、ナットウキナーゼはミュータンス菌を抑え、う蝕予防効果につながるものと期待されます。現在は納豆摂食によるう蝕予防についての臨床評価を行っています。
競技力向上を視野に入れた新しいマウスガードの開発から管理まで(11331)
年齢を問わずスポーツが盛んになり、これに起因する歯科領域の外傷が増えています。そのため、歯の破折や周囲組織の外傷を予防し、スポーツを安心、安全に楽しく行うための対策として、マウスガード(MG)の装着が推奨されています。
スポーツ選手をサポートするにあたり、さらなる満足を得るためには、従来のMG物性に加え、新たな特色がないと対応できません。今回、技術的に難しいとされていた接着技術が産学連携により可能となり、新たな特徴をもったMG材が開発できました。またこれを清潔に管理するための除菌洗浄スプレーを世界で初めて開発し、多くのユーザーに愛されています。
ファイバー強化型コンポジットマテリアルの歯科領域への応用(研究紹介)
歯科医療において、口腔組織の形態や機能の回復・改善を図るために、様々な種類の「歯科材料」が使用されています。被せ物(冠)や矯正ワイヤーなどに用いられる金属材料は機械的性質に優れていますが、問題点として見た目(審美性)の悪さや金属アレルギーのリスクがあります。そこで、比剛性・比強度に優れるファイバー強化型コンポジットマテリアルの歯科的応用が期待されます。
これまで歯工連携により、種々の成形法を応用することで、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(GFRTP)の研究開発を行ってきました。例えば、既存の金属製矯正ワイヤーの代替材料として、引抜成形法を応用することで審美性に優れるGFRTP( 強化材:ガラス長繊維、母材:ポリカーボネート樹脂)製歯科矯正ワイヤーを試作しました。また、歯科用CAD/CAMシステムによる切削加工で製作されるCAD/CAM冠用材料として、ハンドレイアップ及びホットプレス法によりGFRTP(強化材:ガラス繊維クロス、母材:アクリル樹脂)製CAD/CAM 冠用ブロックを試作しました。その他に、射出成形法により製作するGFRTP(強化材:ガラス短繊維、母材:ポリプロピレン樹脂)製義歯などがあります。
ワクチン及び予防用素材を用いた口腔バイオフィルム感染症予防システムの確立(研究紹介)
少子高齢化により歯周病や誤嚥性肺炎など口腔を介する疾患が増加しています。ヒトの口腔細菌叢(マイクロバイオーム)に関する理解の進展により、口腔および腸内細菌叢異常、炎症反応が歯周病や誤嚥性肺炎の発症に関与していることが示唆されています。歯みがきによる口腔ケアではなかなか対応がしきれないのが現状です。そこで、口腔微生物病原体のバイオフィルム形成をターゲットにして口腔から病原体を除去するために予防用素材ならびにワクチン開発を目的として研究を行いました。
う蝕及び歯周病である口腔バイオフィルム感染症の予防方法を確立することで、多くの国民の口腔と全身の健康を維持するための素材を開発しました。また、様々な病原体に対する粘膜ワクチンを開発するための、膜小胞を利用したワクチンプラットフォームを開発しました。
口腔と呼吸器疾患の関連 ―新規口腔ケア剤開発と唾液検査の活用(研究紹介)
口腔の不衛生に伴う口腔細菌の誤嚥は、肺炎や世界の死因第3位となった慢性閉塞性肺疾患のみならず、COVID-19に対しても悪影響を及ぼしていることが示唆されています。実際、患者さんの痰や肺から口腔細菌が検出されることや、歯周病患者においてはCOVID-19の死亡・重症化率が高いことが報告されています。口腔が新型コロナウイルスの製造工場となっていることも分かってきました。一方で、口腔ケアが肺炎などの呼吸器疾患の予防に有効であることも知られています。
口腔ケアや歯周病治療が、なぜ呼吸器疾患の予防に有効なのか?を調べる研究を行っています。その中で、歯周病や呼吸器疾患の発症に関わりうる口腔の細菌やウイルスの増殖を抑える新たな物質の探求や、唾液を用いた検査法の開発に取り組んでいます。最近では、唾液中の新型コロナウイルスを定量した論文を発表しました。
歯質接着界面の微細構造観察及び質的解析(研究紹介)
虫歯や外傷によって歯冠に実質欠損が生じた際には、様々な材料を用いた修復処置が行われます。修復歯が口腔内で長期間機能するためには、残存歯質と修復材が強固に接着し、耐久性に優れた接着界面の形成が求められます。本研究は修復材料と歯質の間に形成された接着界面の微細構造観察及び質的解析を目的としています。
充填材料及び歯科用セメントによって形成された接着界面を様々な方法で処理し、その微細構造の観察を行ってきました。その結果、象牙質のカルシウム成分と接着材に含まれる機能性レジンモノマーとの化学的な反応層(reaction layer)と思われる密度の高い層が(リン酸で象牙質を処理した場合においても)発現することを世界で初めて確認しました。 また、接着界面の質的解析には界面を形成している部材について、界面科学的アプローチとともに接着材料の重合性及び機械的性質の把握から、それぞれの部材の質的解析から相互親和性についても検討を行っています。
慢性口腔顔面痛の新規治療法開発(研究紹介)
慢性口腔顔面痛は中枢神経系の過敏や下降性疼痛抑制の機能障害により生じることが分かってきました。慢性口腔顔面痛患者の中枢神経機序について神経生理学的及び脳イメージング手法を用いて原因不明の口の痛みを解明及び新規治療方法の開発を目的とし、臨床研究を行います。
fMRIを用いて慢性口腔顔面痛の患者と健常者の脳体積変化があるか比較検討します。口と手を用いて実験的に痛み刺激と調節刺激を加え、CPM(下降性疼痛抑制)の評価を行い、下行性疼痛調節機構に障害があるか否か明らかにします。解析因子として、中枢感作指標(CSI)、病悩期間、年齢、心理社会的要因、疼痛強度を設定します。
RNAを標的とする核酸医薬で難治性疾患に挑む(研究紹介)
アンチセンス核酸(ASO)は、天然核酸(DNAやRNA)と修飾核酸から構成される短い一本鎖オリゴヌクレオチドです。ASOは従来の医薬品では標的にできなかった「RNA」と特異的に結合し治療効果を発揮することが実証されており、近年「核酸医薬」として様々な疾患に対して急速に臨床応用が進められています。
我々は難治性疾患の中でも遺伝性疾患である筋ジストロフィーに対するASOの研究開発に取り組んでおり、核酸医薬としての実用化を目指しています。また、ウイルス感染症に対しては、ASOが持つRNA「分解」と「機能阻害」の異なるメカニズムに着目して、抗ウイルス薬としてのASOの可能性を追究しています。最近では、本邦を含むアジア全域で大きな問題となっている日本脳炎ウイルスの増殖を効率的に抑制するRNA分解型ASOの有効性を明らかにし、ASOによるウイルスRNAの分解が高い抗ウイルス効果をもたらすことを実証しています。