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プローブクライマーによるワイヤーロープ支持構造の健全性評価(研究紹介)
旅客輸送用索道のうち特に交走式に用いられる支索と呼ばれる搬器を支えるワイヤーの点検は困難である。また遊園地のジップラインなどワイヤーを使用する遊具も目視による点検がほとんどであり,その点検も高所での作業などの危険が伴う場合も多い。 本研究では構造用ワイヤーロープの遠隔保守点検システムを開発するために,自作のGMRセンサアレイ型検査機器を搭載して垂直方向にも自立移動できる昇降機構(プローブクライマー)を開発し,ワイヤーロープ支持構造の予見保全技術向上と技術作業員のリスク軽減に寄与するものである。
構造用ワイヤーロープの遠隔点検システムを開発するために,従来製品より小型で検出精度の高いGMRセンサアレイ型健全性評価システムを開発した上で,これを搭載して垂直方向に自立移動できる昇降機構(プローブクライマー)を製作し,その予見保全の妥当性について検討した。
開発したプローブクライマーは従来製品より高速でワイヤーロープの破断や錆とその発生位置を検出することに成功し,また,GMRセンサアレイ型健全性評価システムは,検出が困難であった内部破断についても検知可能であった。
支持構造として利用されるワイヤーロープ全般の予見保全や遠隔点検機器,土木構造,建築付帯設備,遠隔保守点検,上空大気の遠隔環境計測機器,リモートセンシング,高層建築での火災時避難器具
小型マイクによる音源探査技術(12171)
従来、困難であった音源探査システムの小型化を実現する新しい音源検出手法を開発した。また、音環境の評価対象空間を撮影しているビデオカメラの映像上に、リアルタイム検出した音源位置を同時に重ね合わせ表示することで、都市および住宅の音環境をその場でリアルタイムに可視化するシステムを開発した。
これにより都市や住宅の音環境の問題箇所を容易に特定できる。
従来の音源方向検出手法は、複数の無指向性マイクを音波が通過する時間差を利用する。音の波長(周波数)に応じたマイク 間隔が必要であることから、方向検出精度が周波数に依存し、さらにマイクシステムが非常に大きくなってしまうという問題点があった。
そこで、時間差ではなく複数の単一指向性マイクの方向別感度差を利用するアルゴリズムを考案した。具体的には6本のカーディオイドマイクを3次元直交座標軸の±方向に向けて設置し、各座標軸±方向(180度反対向き)の一対のカーディオイドマイクの感度差を利用して音源方向を検出する。
本手法では複数マイクの時間差ではなく感度差を利用するため以下の特徴を有する。
1)原理上に音の波長に左右されないため、低音域から高音域まで同じ精度で方向検出できる。
2)マイク間隔が必要無いのでサイズを極めて小さく出来る。
3)複数マイクの位相特性を揃える必要がない(メンテナンスフリー)。
4)音源の種類を選ばずリアルタイムに方向検出できる。
さらに本手法の特徴を活かし、ビデオカメラと本マイクシステムを組み合わせた音環境可視化システムを開発した。
音環境診断装置,監視カメラ,無人工場の異音発見,セキュリティシステム ,ロボットへの組み込み
キャパシティブセンサによる落下物体の速度測定(研究紹介)
静電誘導法を測定原理とする,簡便であるがやや複雑な電場測定にも対応できる電場センサを製作し,誘電体の分極と外部電場強度の関係や,誘電体境界面での電束密度の連続性を計測する手法をこれまでの研究で確立している。本研究では,この電場センサを改良してキャパシティブセンサとし,物体(導体)の運動を簡易的に計測できる手法を確立することを目的としている。
・大気中を自由落下する物体の時々刻々の速度を,キャパシティブセンサを使って測定した。速度が時 間に比例して増大することを確かめた後,その時間変化から物体の加速度を求めた。空気抵抗の効果は 加速度の質量依存性から調べられた。
・運動方程式が示す通り,質量を大きくすれば空気抵抗が無視でき,重力加速度が求められることが分かった。
・実験で求めた重力加速度は,公表されている値と誤差0.2%で一致した。
・物体の移動を検出するセンサや速度計測器の開発
・電磁気学の基本原理を用いた計測器の開発
・物理学実験等の授業で使用する実験装置の開発
ファイバー強化型コンポジットマテリアルの歯科領域への応用(研究紹介)
歯科医療において、口腔組織の形態や機能の回復・改善を図るために、様々な種類の「歯科材料」が使用されています。被せ物(冠)や矯正ワイヤーなどに用いられる金属材料は機械的性質に優れていますが、問題点として見た目(審美性)の悪さや金属アレルギーのリスクがあります。そこで、比剛性・比強度に優れるファイバー強化型コンポジットマテリアルの歯科的応用が期待されます。
これまで歯工連携により、種々の成形法を応用することで、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(GFRTP)の研究開発を行ってきました。例えば、既存の金属製矯正ワイヤーの代替材料として、引抜成形法を応用することで審美性に優れるGFRTP( 強化材:ガラス長繊維、母材:ポリカーボネート樹脂)製歯科矯正ワイヤーを試作しました。また、歯科用CAD/CAMシステムによる切削加工で製作されるCAD/CAM冠用材料として、ハンドレイアップ及びホットプレス法によりGFRTP(強化材:ガラス繊維クロス、母材:アクリル樹脂)製CAD/CAM 冠用ブロックを試作しました。その他に、射出成形法により製作するGFRTP(強化材:ガラス短繊維、母材:ポリプロピレン樹脂)製義歯などがあります。
歯質接着界面の微細構造観察及び質的解析(研究紹介)
虫歯や外傷によって歯冠に実質欠損が生じた際には、様々な材料を用いた修復処置が行われます。修復歯が口腔内で長期間機能するためには、残存歯質と修復材が強固に接着し、耐久性に優れた接着界面の形成が求められます。本研究は修復材料と歯質の間に形成された接着界面の微細構造観察及び質的解析を目的としています。
充填材料及び歯科用セメントによって形成された接着界面を様々な方法で処理し、その微細構造の観察を行ってきました。その結果、象牙質のカルシウム成分と接着材に含まれる機能性レジンモノマーとの化学的な反応層(reaction layer)と思われる密度の高い層が(リン酸で象牙質を処理した場合においても)発現することを世界で初めて確認しました。
また、接着界面の質的解析には界面を形成している部材について、界面科学的アプローチとともに接着材料の重合性及び機械的性質の把握から、それぞれの部材の質的解析から相互親和性についても検討を行っています。
脱分化脂肪(DFAT)細胞の自家培養表皮生着促進効果(11877)
広範囲深達性熱傷症例に対してヒト自家培養表皮が保険適応となり人工真皮と自家培養表皮移植による皮膚再建法の確立が望まれている。しかし、現状では再建真皮上に移植された自家培養表皮の長期生着が安定せず、機械的刺激に対して脆弱であり脱落し易いなどの問題点が残されている。
本研究は、全層皮膚欠損創への自家培養表皮移植に際して、移植床への脱分化脂肪(DFAT)細胞投与が培養表皮生着に対しておよぼす効果をブタを用いた動物実験モデルで検討した。
培養表皮は移植床との間に基底膜が再構築されて生着するが、その主要成分はcollagen IVとlaminin とされる。真皮再建に際してDFATにより治療を行った群では、培養表皮移植後の表皮真皮接着層にlamininの発現促進が見られ、基底膜の構築とanchoring fibrilの形成促進が認められた。
本研究結果よりDFATが培養表皮生着促進に有用であることが示唆された。
・熱傷治療における培養表皮生着率の向上
・再生医療製品(培養表皮)
電磁波強度分布測定装置(11536)
天空の状態は天空放射輝度を測定することで明らかに出来る。天空放射輝度の測定は従来1個の放射輝度センサーを機械的に水平・垂直に回転させるために時間を要した。その天候が変化するため、正確な天空放射輝度を測定することが難しかった。本装置は半球状の容器に多数のセンサーを配置し、同時に測定できるようにしたため、天候が変化しない内に測定値を得られ、従来よりも迅速・大量・正確な測定が可能になった。
半球状の鉄製容器の表面に145個の放射輝度センサーを埋め込んである。天空の高度6度から180度、方位は0から360度の範囲で放射輝度を測定できる。145個のセンサーの出力はプリアンプを通して、マルチプレクサーに接続されおり、毎2秒毎にデータ蓄積装置に収納される。従来機械走査式の場合、全天を走査するのに2分から4分を要していたが、本装置は50分の1から100分の1の時間で測定できるため、天候の変化しない測定値が得られ、かつ大量に測定値を取得できるようになった。また機械的な駆動部分が無いため、磨耗も無く、故障も少なく、保守も容易である。多数のセンサーを校正するためにセンサー埋め込み部分にナットを設けて、校正用光源を接続しやすいようにしてある。
MEMS技術を用いた高応答・高空間分解能熱線濃度センサー(11442)
二成分気体の拡散混合における気体濃度の測定、特に気体濃度変動が有り高い応答性を必要とする場合に用いることができる。ガスタービンなどの燃焼器の気体燃料インジェクターの気体燃料拡散範囲の測定など。また、MEMS技術による微細化により本濃度計をマイクロチャネル内に挿入し、マイクロチャネル内の気体混合の際の気体濃度測定に用いることができる。
本研究の熱線濃度計は気体の濃度を感知する熱線あるいは熱膜、被測定気体を吸い込む微小ノズル、真空装置、および熱線用のアンプより構成されている。本技術には、熱線濃度計の基本要素である被測定気体の取り入れ口であるノズル、センサー本体である熱線、およびセンサーホルダーをMEMS技術により寸法を縮小すること、濃度の空間的分解能を向上させるセンサー感度を増加すること、およびノズルと気体通路・配線接触部の絶縁膜をポリイミドと酸化シリコンを使用して製作するところに特徴が有る。
ノズルから噴射される気体の濃度測定装置、マイクロチャンネル内の気体の濃度測定装置